塾講師のアルバイトを通して学んだこと

 

2012年の年末から塾講師のアルバイトを始めました。大学生になったら1度ぐらいは経験するバイトの一つとも言えますね。

学校ではなく「塾」という側面ですが生徒と関わる中でいくつか教育に関して感じた内容があるので書きつ綴ってみました。

1. 塾講師は割の良いバイトではない!が将来教師を目指す人には最適の訓練場

 もともと教育に少なからぬ興味はありましたが、この冬は自分の勉強をしつつも割の良い塾でバイトをしよう♪という軽いノリで始めてみました。

が、塾は割が良いバイトではありませんでした!笑(塾や本人の能力にもよりますが・・)

 授業の予習ももちろんですが、僕の場合、生徒が英単語テストで一定の点数がとれるまで居残るのを自分も一緒に残らないといけません。つまり完全なサービス残業ですw

また、一口に授業の予習といっても1コマごとにある程度予習しないと授業が崩壊するのでしっかりとした準備も必要でした。

冬期講習の場合、僕は5コマ入っていたので5冊のテキストに目を通し、生徒が分かりにくそうな部分をピックアップしどう教えるかをイメトレしていました。

2. 人生初の塾講師!「じゃあ、やってみて!」

冬期講習は様々な学力の生徒を教えました。僕は文系なので担当は

中1英語 偏差値55-

中2英語 偏差値55-

中2英語 偏差値30台

中3国語 偏差値65~

中3国語 偏差値55~

 

という感じです。初めての講師なのにいきなり受験生を教えてもいいのかな?と塾に対して不信感を抱きます。

ちなみに僕が教えている塾は千葉と東京に展開する小さな塾です。一つの教室には5~7人という少人数制。僕は5コマ(クラス)教えていたので冬期講習で延べ30人の生徒と関わることができました。

1番最初の授業。

なんの研修も模擬授業もなく、いきなり塾長から「じゃあ、工夫して自分なりにやってみて!^^」って言われました・・

初の集団授業は完全に崩壊しました!\(^o^)/笑。

中3国語を教えましたが宿題の解説をテキスト通りに読むだけ、そして問題を解かせて解説を読むだけ。最低の授業でした。おかげで終了よりも15分も時間が余って、本当にもう逃げ出したたかったw

ただ、最初から工夫したことが一つ。

それは生徒にどんどん指名して答えを言わせる。言った答えに対して「なぜそうなったのか」「どう考えたのか」をしっかり聞くようにしました。 

しかし、初の授業でフルボッコにされたのに追い打ちをかけるかのように、授業が終わると女の子たちが廊下に出て隣のクラスの子と早速僕の話を始めます。

「うちのとこに新しい先生きたよ!ww若かったwwwwwww」「どうだったその若い先生???」「なんか指名制だったんだけどwwwww」みたいな会話が聞こえてくる。。

中1の英語の授業では「先生彼女いるの?」「先生何歳?」という質問攻め。

塾では先生の詳しい情報は生徒のモチベーションに関わってしまうのであまり言ってはいけないことになっています。

改めて先生って見られる仕事で多数の人から評価される仕事なんだと実感しました。

3. 勉強が苦手な生徒と

初日は緊張と不安で上手くいかないこともありましたが、二日目からは慣れて自分の言葉でしっかりと授業ができるようになりました。

様々な学力層に教えたのですが、俗に言う勉強のできる生徒と勉強の苦手な生徒に現れる違いが目につきました。

 「勉強ができる」子はクラスではガリ勉と揶揄されたり、内面は他者を見下している。一方「勉強ができない」子でも人間として良いものを持っているし人間の価値は勉強できまるものじゃない!

こんなことを強調するような学園ドラマが多くありますが、実際は塾に来ている子を見ていると「勉強が苦手な」生徒に対してドラマに出てくる熱血教師の一言では片付けられないような危機感を覚えることがあります。

まず、「勉強ができる」生徒は自信に満ちていて、積極的であり、何よりも集中力がある。

一方「勉強が苦手な」生徒はとにかく落ち着きがありません。黙ってノートをとることもできません。本当にびっくりしましたが、5分も集中できない生徒もいます。

また、某ドラマに出てくるような成績の良くないヤンキーとかは塾に来ません。

むしろ塾に来る「勉強の苦手な」生徒はどこか自信が無さそうで、「どうせ無理」「できない」「分かるわけがない」といった言葉を多用します。彼らが発するそのような言葉は既に彼らの思考の一部となってしまっているのを感じました。

僕が教えていた英語のあるクラスは予想を超えるほど厳しいものでした。

来年度から中3に上がる子たちなのですが、中1で学ぶ単語や文法をほとんど書けませんし理解できていませんでした。

塾長に相談し、本来は中2のテキストを使う予定ですがカリキュラムを変更し中1の英語から始めることにしました。勉強は分かるところまで戻らなければ絶対に分かるようにならないと思ったからです。

21:40に授業が終わるのですが、その後英単語テストで13/15点とれなければ居残りさせるのが塾のルールなので大体22:30まで生徒と残っていました。完全なサービス残業です(笑)

4. 生徒のモチベーション向上に取り組む

「勉強が苦手で少しの集中もできない生徒にどのようにやる気を起こさせ、点数を上げさせるか」これが冬期講習で僕に与えられた課題でした。

一応できることはすべてやってみました。

言葉で説き伏せられるか?

まずは言葉での指導

僕「先生も勉強は苦手だったけど、やり続けることで好きになれたし、勉強の大切さは必ずあとで分かるから、とにかく今勉強しておいて損はない!」

 生徒「みんなそう言ってるだよね~。みんな同じことしか言わない!」

 

結果・・・撃沈!!!

言葉でいくら言っても彼らと大人の視野は違います。中学生は視野が狭いですがその狭さがまた良かったりするものです。なのでいくら大人の理論で勉強の大切さを「言葉」で訴えても生徒には中々実感できないし響きません。

点数を取る楽しさを体感させる

こうなったら理屈抜きでまずは点数をとる感覚を掴ませようと思いました。

1日目の単語テストは大体みんな3/15点とかなので放課後13/15とれるまで居残って単語を覚えます。本来は1日目の単語テストが終われば2日目は新しい範囲の単語テストですが、1日目でやった内容を2日目にももう一度やらせることにしました。

そうすると2日後には満点をとれる子が出てきます。そこでまた不合格になってしまう子もいますが大体前日よりも点数は上がってます。そうするとどこかで「やればできる」「やれば覚えられる」という感覚を得ることができるのです。

すると3日目の単語テストで初見の単語でまた3/15くらいとっても(本当は家でしっかり準備すべきなのだけど)、また頑張れば合格点が取れるという思いから、勉強してくれます笑

こうなると冬期講習で生徒が触れるべき語彙数も半分になってしまいますが、どうせすぐ忘れてしまう単語をどんどん覚えるより繰り返して絶対に覚えるべき単語を覚えさせた方が良いと考えました。

塾長に相談すると、「あなたに任せます」と言われ信頼されてるのか関心がないのか分かりませんでしたが。

5. 彼らの将来を思うと、今が頑張り時

「勉強が苦手な」生徒を見ていると、彼らの10年後をとても心配になります。人の心配しているほど自分に余裕があるわけではないのですが、どうやってお金を稼いでいくのかとかいろんなことが心配になります。

そして中学生というのは勉強をドロップアウトするにはあまりにも早すぎる年齢です。少なくとも彼らの狭い視野というのは勉強の大切さや必要性に対する自覚を持ちにくい時期であるので、結局のところそこに責任を持っていかなければならないのは親であったり先生といったような教育者なのだと痛感した次第です。

6. 叱ることの難しさ

生徒を見ていると時々ズルをする子がいます。大体雰囲気で分かるのですが、見たらその場で注意しないといけません。

怒ることはできても叱るのは苦手な人が多いのではないでしょうか。

仮にも先生と呼ばれる立場の人は適切な時に適切な形で叱れるようにならなければなりません。

生徒から見て「良い先生」になることばかりを意識しているうちは叱ることも躊躇しますが、そういった打算を超えて本気で生徒のこと思って、あるいは人として間違ったことをしたことに対して叱れるかどうかは教育者として大事なポイントだと思います。

経験則的に、しっかりと叱られた人は他者に対してもしっかりと叱ることができるようになると思います。

教えていた生徒でも単語テストをカンニングする生徒がいたので叱りました。

その際気をつけたのが、本人がなぜ叱られたのか分かるように叱ること、そして叱った後は何事もなかったかのように普段通り接することです。

もちろん同じ過ちをしたならまた叱りますが、基本的には一度叱ったことは何度も何度も言うべきではありません。そうしても結局本人には届かないからです。

これも一応経験則です。

7. 冬期講習を通じて私的に頑張ったこと・工夫したこと

①カリキュラムを柔軟に変更

勉強は分かるところまで戻らないと伸びない、というのが僕の考えです。

なので既存のカリキュラムを踏襲するだけの授業ではなく、そこにいる生徒に合ったカリキュラムで進める必要があると感じたので実行しました。塾だからできることかもしれませんが。

②生徒をどんどん指名する

授業では問題を解かせた後に、生徒にどんどん指名して解答を言わせました。その際になぜそう考えたかまで答えさせるように心がけました。先生が一方的に解答を述べて解説するよりも指名することで生徒が「何を分かっていて何を分かっていないのか」が分かりますし、生徒の理解度も分かりやすくなります。そこで授業のレベルなどがあってなけれカリキュラムを変えることも考慮することになります。

何よりも指名することで生徒に緊張感が生まれ、多少ではあれ受動授業から能動授業になります。

③変なプライドを捨て他の先生に教え方を教わる。

10人いれば10通りの教え方があると思っていますが、自分の教え方が本当に生徒の理解に繋がるかを徹底して吟味しました。なので教え方に自信がないところは同じ科目を教えている先生に素直に聞くことにしました。それで嫌な顔をする先生はほとんどいません。むしろみんな自分の教え方に少なからず自身を持っています(笑)

逆に他の先生方も自分の指名制方式を取り入れてくれたりもして、結果良い雰囲気をつくることができたと思っています。

④最初の掴みで興味を持たせる

中学生ぐらいだと「面白い話」に関心が多くあり、理論整然とした講義よりも「面白い講義」に耳を傾ける傾向があります。僕もこれは重々に意識していました。

 また、大事なのは授業開始後の最初の5分です。信じられないような話ですが最初の5分でその授業の雰囲気がほとんど決まります。眠そうな雰囲気で始まれば最後まで眠そうな雰囲気、ピリピリした雰囲気なら最後までピリピリした雰囲気になります。

 僕は生まれて最初の塾講師だったのでとにかく僕の話(授業)を聞いてもらいたいと思って、最初の3分くらいは雑談から始めました。

「人を笑らかしたい」とは常日ごろから思っているので面白い話の引き出しは持っているほうだと思います!笑

そして僕もまだ若さMAXなので最近の若者(こういう言い方自体がおっさんに近づいてるのだけども)が興味のある話ぐらいはできます。AKBと杉ちゃんの話をしてなんとか生徒にウケました。

男子生徒が多いクラスでは自分がサッカーをやってたことや好きな選手の話をすると大体食いついてきます。そういった掴み話を通して「こいつの話は聞いてみてもいいかも」と思わせられたらすごく授業がやりやすくなります。

 また、最初だけじゃなく、国語などでは抽象的な文章を身近な出来事を例にしてみると生徒は興味を持って聞いてくれました。こういったことは自分は得意なんだなぁと新たな自分を発見できました笑

8. 最後に

初の塾講師で、それもただのバイトではありますが、やはり生徒と接して教育の現場にいると短い時間でもものすごく感じることが多くあります。

そして教育の可能性をしみじみと感じます。

 この冬期講習で忘れられなかったことは、友人からも先生からも「勉強ができない」と言われてきた子が単語テストで満点をとった時に見せた満面の笑顔です。疲れも全部吹き飛びました。これが教育の醍醐味なのだと感じました。人の成長を直に見ることほど嬉しいことはありません。

ど素人講師ながらもそんな喜びを味わせてくれたことに感謝です。

 塾内でもよく使われる「勉強ができない子」という言葉にすごく違和感を覚えるので、僕は敢えて「勉強の苦手な子」と表現するようにしています。それは勉強はやればできるようになると信じているし、「勉強ができない子」といえば教師や講師の役目は無くなってしまいますから。

まあ言葉の微妙なニュアンスの問題なんですけどw

当初は冬期講習だけの契約でしたが、通常授業も入れることになったので今日からまた通常授業です。

中3受験生の英語を2クラス

小4の国語を1クラス

教えます。短い期間ですが生徒と関わる中で、自分も共に成長できたらと思います。

 

ああ、やっぱり教育の現場っていいな。