福生で生きる人々と米国人との強烈な力関係ー村上龍【限りなく透明に近いブルー】

米軍基地の街・福生で生きる人々と米国人との強烈な力関係とそこから流入される米国的ヒッピー文化-セックス、ドラッグ。
それに抗せない人々の様相を感じ取る読み方もできるし、自分の位置を見失い、自意識も美意識も失ってしまった若者の末路的ないし現代的な若者文化を読み取ることもできる、実に多様な読解が可能だと思う。

メッセージ性という意味では乏しさを感じた。加えて文章の書き方は独創的だからこそ読み取りづらいのも事実。しかし人とドラッグの描写はあまりに詳細で、リアルである。ここまで繊細にかつ生々しくドラッグを描写できる作家もそういないだろう。その表現のクオリティは実際にドラッグを経験しているのではないかと思わせるほどである。

個人的には物語の舞台である佐世保市と何の所縁もないため共感しづらい作品ではあるが、読み手によってはドラッグと体液にまみれ、汚れた描写の中にあってもその汚れた描写に美しさをも感じてしまうのかもしれない。