戦争の時代には宮部久蔵のような物語を一人一人が持っていたー百田尚樹 【永遠の0】

佐伯健太郎は祖母の葬式の日に祖父から祖父と健太郎が血のつながりがないことを知らされ、本当の祖父は宮部久蔵という人物であることを知る。
宮部久蔵について姉の慶子と調べることになり、最初は宮部を知る人たちから宮部は「臆病者」だったということだけを聞かされるが、次第にその理由と宮部久蔵の真の姿(生き方)が浮き彫りになってくる....
 
当時の時代背景や戦争についてよく研究されているなという印象。小説も映画もどちらが優れていたかと一様に比較できず、どちらにも良い部分があると感じられたのは原作の内容も優れたものでありながら映画製作それ自体もなるほど優れたものだったと言える。
しかし小説に関していうならば、映画にはないプロローグとエピローグ、これだけは秀逸だった。特にエピローグでは文字だからこそ伝わってくるものがあり、そこに小説の良さがあると同時に、これを映像化しないところにまた映画の良さがあった。
 
心に残ったのは、戦争の時代には宮部久蔵のような物語を一人一人が持っていたということ。一人一人にその時代を生きた人たちにしか分からないそれぞれの戦争体験、想いがある。そういった内容に若い世代の我々は耳を傾け、現在という意味を過去から学ぶ必要があるのだと感じた。