理想国家についてープラトン【国家 上下】

 

国家〈上〉 (岩波文庫)

国家〈上〉 (岩波文庫)

 
国家〈下〉 (岩波文庫 青 601-8)

国家〈下〉 (岩波文庫 青 601-8)

 

 プラトンの「国家」

政治に関心のある僕としてはずっと読みたいと思っていた本で、周囲からは「難しい」と言われていたのでなかなか踏み出せなかったが、勇気を出してその扉を開いた。

構成は上下巻2冊で、さらにその中で大きな話を1巻(章)ごとに区切っている。

プラトンの理想国家についての考察をソクラテスと周囲の人物の対話を中心に描写しており、ソクラテスの問答法がいかなるものかが伺える。

国家を統治するものはいかなるべき者がふさわしいか。

そういった人物をどう教育していくか。
そのようなことを議論しながら理想国家への道を模索している。

プラトンの考えは国家の守護者(統治者)は優れた哲学者がなるか、あるいは哲学者が守護者になるべきだとしている。
靴磨きに相応しい人物が靴磨き以外の仕事をすることでその能力を発揮されないように、人には能力に合った相応しい役割があるという。
そしてそれぞれの民がそれぞれに相応しい役割を果たすことで国家に正義が成されるという。
では女性はどうか?
女性と男性は身体的な差異がある。しかし男性の中にも女性に近い人物や女性の中にも男性に近い能力を持った者もいる。よって女性も国防にあたってはその相応しき役割に準ずるべきだとする。
商人は節制を、軍人は勇気を、政治家は知恵を、それぞれ発揮することによって国家は正義を成すのである。

それではそのような優れた統治者をいかに育てうるのか?
まず第一に、生まれたときから触れる文学に気をつけさせるべきである。
神が悪魔に化けるとか、世の中が暗黒であるとか、そういった内容は避けるべきであって、勇気や正義に憧れを抱くようなものに触れさせるべきである。

では統治者は不幸ではないのか。
というものに関しては、利益の焦点はある一定の階層にあてるべきではなく、国家全体の利益に基づいて考えるべきであり、また優れた統治者は自身が国家の守護者としての行い自体が幸であると知るものである。


難解な論理展開と多様な例によってこの書をなかなかそのままにまとめることができなかったのは残念だ。
しかし現代の政治と比較してみたときに、「国家」から学べることは多分にあるはずだ。
マスメディアに踊らされ、国民は政治家の政策よりもスキャンダルばかりに関心を向け、政治家は政治家で政策以前に、政治家自身が国民の代表としての品位と道徳に欠けるのである。
「国家」のみならず古典は、現代の様々な問題について解決のヒントを与えてくれる。