日本が抱える問題の原因論ー石原慎太郎【新・堕落論】

 

新・堕落論―我欲と天罰 (新潮新書)

新・堕落論―我欲と天罰 (新潮新書)

 

 

 現在日本で起きている数々の問題、その背後と原因に人々の性欲、物欲、金銭欲すなわち我欲がある。

戦後アメリカの駐在に始まって、憲法や教育を自らの手で築かなかったこの国の、それでいて平気であるというその徹底的な他力本願と堕落した国家への憂いのこもった石原慎太郎の言葉には、「右翼」と呼び捨て終えることのできないほどの国家への想いと愛を感じる。
特に戦争、敗戦、戦後とその歴史の舞台にいつも立っていた石原ならではの国家、国民への憂慮がにじみ出ている。

本書を通して、石原が接してきた数々の有権者、国内にとどまらない著名な人物たちと石原とのやり取りを通して、世界が日本をどう見ているか、歴史の中でこの現在日本を作っていった背後はどうであったかを、新聞やテレビといった媒介体を挟むことなく知ることができる。

果たして事実がどうであったかはひとまず置いておいて、現在日本の抱える問題の顕著な原因として、自我の喪失、それからくる徹底的な他人依存。そうした背景から生じる性犯罪、家庭内殺人を始め、信じることのできないような事件の数々が、暗く心を閉ざした一部の問題児が起こす事件ではなく、ごくありふれたものであるかのような、倫理の問題以前に何の考えもなく起こしてしまうという現代日本人の体たらくを、今一度考えるにおいては良い機会を提供する本である。