子供と大人の狭間で生きる彼女たちー湊かなえ【少女】

 

少女 (双葉文庫)

少女 (双葉文庫)

 

 これまでいくつか湊かなえの作品を読みながら、その小説の特徴の一つとして、どの作品の中にも一定のテーマがあるように思える。

一つは対人関係、一つは死、一つは若者。 学生が登場する作品が多いからか、必然的にその対象の中心に若者が据えられることが多い。同時にそれは現代のユースカルチャーやそれを取り巻く社会現象的な内容を描写している感が割とはっきりと読み取れるのではないだろうかと思う。

本作「少女」においても、序盤はどこにでもありそうな学生生活を日常的に、平坦に表現し、読者を若者の視点へと徐々に馴染ませていく。
物語は由紀子と敦子という二人の登場人物の視点で描かれている。この二人の間にある友情のような特別な関係の中に、ある時、紫織という友達から紫織の友人の自殺の話を聞かされる。二人は紫織から「友人の死」の話を聞き、「死」が平凡で退屈な毎日を刺激的なものに変えると感じた。何よりも「死」について語る紫織のことが、死を理解している人間として大人に見えた。そんな二人は自分たちも死を実際に見たくなるのである。由紀子は重病を抱えた子どもたちがいる病院へボランティアすることで、敦子は老人ホームの手伝いを通して、それぞれがその場で死を見てみたいと考える。

子供と大人の狭間で生きる彼女たちにとって、死に触れることが大人へと近づける通過儀礼のように感じたのかもしれない。私の独自の感想だが、「少女」では死を通して人が変わることを強調している。もっと言えば、自分の身近な誰かが死ぬことによって、死をリアルに感じ、それを通して有限なる自分の生について考えるということを婉曲的に表現していると感じた。さらに本作では因果応報が重要なテーマとなっている。作品それ自体が因果応報を体現しているといえるぐらいに、人は自分の行いによってその報いを受ける様相が表わされている。

平坦な文章でありながらも、様々なメッセージ、そして爽快なオチがあるところに湊かなえ作品の面白さがあるように思う。