ITによる教育イノベーションーサルマン・カーン 【世界はひとつの教室】

 

 テクノロジーによる教育革命の先駆的役割を果たすカーンアカデミーの創始者であるサルマン・カーンがどのような教育的問題意識を持ち、どのようなモデルを作ろうとしているのかが理解できる1冊である。

特に「完全習熟度」による学習方法は必要とされながらも、現行の教育システムでは100%の理解の到達がされてなくてもカリキュラム的に次に進まざるを得ず、そうすると次々に学習についていけなくなるというような悪循環がある。
そこでカーンが提唱とするビデオ教育のシステムを利用すれば本人が理解できるまで何回も繰り返し授業を受けられ、さらに完全に理解してこそ次に進めるのでスポンジ学習のように知識の漏れを防ぐことができる。
さらにカーンアカデミーの方法論は経済的な理由で学校に通えない子供たちにも学習の機会を提供することを可能にする。
 
「すべての子供に無料で質の高い教育」という具体的かつ明確な目標は野心的だが、カーンアカデミーのモデルは現在の教育システムに大きな風穴を開けるきっかけになる。
 
実際にE-EducationというNGO団体もビデオ教育による途上国の教育格差の是正に取り組んでおり、今後ビデオ、そしてオンライン教育市場は激戦となるに違いない。
 
こうしたテクノロジーの進歩により、今まで深刻な問題として考えられてきたイシューに対して新たな解決策を示せる時代が現在であることを思うとワクワクしてくる。