佐藤優が見た英国ー佐藤優【紳士協定 私のイギリス物語】

 

紳士協定―私のイギリス物語―(新潮文庫)

紳士協定―私のイギリス物語―(新潮文庫)

 

 元外交官の筆者・佐藤優が外務省時代、語学研修で1年間イギリスに滞在していた時のノンフィクション物語である。

ホームステイ先のグレンという少年との関わりを中心に物語を展開しながら、相変わらずの分析力でイギリス社会の構造を分析している。
特にイギリス社会に残存している階級について強調しているように思う。少年グレンはグラマースクールと言われる、日本で言えば浦和高校湘南高校みたいな公立トップ校 のような学校に通っているが、家庭は決して上流階級ではなく、むしろ中流階級に属しており、グレンが大学に進学するか技術職に従事するかによって今後の自己の階級位置が決まってくるという部分は大変興味深かった。イギリスは階級の移動が少なく、生まれた時点での社会階級がそのまま自身の階級になる場合が多い。そういったイギリスの社会事情が興味深く書かれている。
さらにイギリスに滞在していたからこそ書ける、イギリスに食文化もなかなか興味深かった。イギリスはご飯がおいしくないと言われるが、必ずしもそうでないこと、どういうお店で何を食べるかが重要であることを教えてくれる。
また、食は文化なのでその国の料理を食べることでその国の文化を理解することにも繋がってくることを学ばされる。

また、語学に対する佐藤優の姿勢も学ばされることが多い。なるべくどんな時も英語を用いる努力をすること。イギリス社会に溶け込むためには、たとえ日本人と一緒にいてもそこに一人でもイギリス人が いれば、日本人同士でも英語で話すように努力することでイギリス人から「イギリス社会に溶け込もうと努力している」と評価される。

私自身も今年の秋からイギリスに1年、修士課程で学ぶ予定なので【紳士協定】で描かれているイギリス社会を参考にしながら、なんとかイギリスで成果を出して帰国したい。また、佐藤優の優れた分析のように、私もイギリスで実際に目で見て耳で聞いたことを私なりに分析し、国際社会の中のイギリスの位置、文化、社会を理解していきたいと思わされた。