学習のモチベーションを高める方法はテトリスに学べ

これまで開発途上国の教育課題における自分の関心はICTやイノベーションといったようないかに教育を普及させるかが中心でしたが、最近は貧困層の子供が抱えるコンプレックスや戦場・難民キャンプにおける子供のトラウマといった学習者の心や脳の部分を扱う「教育心理学」や「教育神経科学」にも関心を持つようになり、修士論文のテーマとはあまり関係ない論文を読み漁ってます。

そこで今回は「人はどのように(学習の)モチベーションを高めることができるのか」についてテトリスを参考に考えてみたいと思います。今回紹介する方法は決して目新しいことではなく、巷に溢れている方法論に経験的な説明を足したに過ぎませんが、すぐに使えるテクニックでもあります。

きっかけはボストンからの帰りの飛行機

昨年11月にボストンへ行く機会がありましたが、ボストンからロンドンへ戻る8時間のフライト中、僕はとんでもないミスをしてしまいます。機内で使う予定だったノートパソコンの電池残量がほぼ0だったのです。これではエッセイが書けない、論文も読めない。仕方ないので機内エンターテインメントで映画でも観るつもりでした。しかしなぜかこの時は映画を受動的に観る行為よりも、能動的に何かやりたいという衝動に駆られました。ボストン-ロンドンという初の航空経路に僕の脳が興奮していたからかもしれません。そこで普段は絶対にやらない「ゲーム」に目が行き、久しぶりにやってみるかということでテトリスに手を出しました。結局、フライトのほとんどの時間をテトリスに費やすことになります。

モチベーションを高めるには、制限時間と簡単なタスクを設定すればいい

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テトリスのゲームルールはいたってシンプル。制限時間内にブロックを埋めて消していく作業です。なぜこうも単純なゲームであるテトリスにはまってしまうのだろうか。という疑問は換言すれば、「人間はどういう状態にあるときに物事に熱中するのか」ということでもあります。

実は既にテトリスについての研究はイギリスのシェルフィード大学で行われており、人々がテトリスに熱中する理由として「未解決の小さな課題を部分的に解決していく」ことで人間の脳は痒い所を掻くような満足感を得られるのだと発表しています。

 

つまり裏を返せば、人間のモチベーションを高めるには「未解決の小さな課題を部分的に設定していく」ことでテトリスに熱中するときと同じような状況を作り出すことが可能であると考えられます。これを普段の勉強に応用させて考えてみます。

これまで「1日に問題集10ページ」「1日300ワード書く」というタスクを立てることで満足していた人でも、テトリス効果を応用させると、これらのタスクをさらに部分的に設定することで未解決の小さな課題を立てることができ、モチベーションをさらに高めることができます。

例えば、問題集10ページを一気に終えようとするのではなく、午前中の1時間で3ページ、午後の1時間で3ページ、夜に3ページ、残りの1ページを翌朝に残しておくことで未解決の小さな課題を解決していく機会を作り出せます。

もう一つ重要なことは時間設定です。

僕はこれまで、人間はミッション(使命)やタスクを与えられることでやる気が引き出されるという仮説を信じてきました。しかしいくらタスクを与えられたとしても、テトリスがもし時間無制限なら、だんだんとやる気が削がれていくはずです。小さなタスクだからこそ、制限時間を設けることで集中的に熱中して取り組むことができます。

さらに最近のテトリスで面白いのは、プレイ時間が表記されるということです。つまり、どれだけテトリスに熱中したのか(どれだけテトリスに時間を捧げたのか)が視覚化されるということです。これはテトリスで一定のスコアを取得するためにかかる時間を見積もるために役立ちます。これを学習にも応用できるツールとして

Toggl - Free Time Tracking Software というアプリがあります。これは今自分が行っているタスクにどれだけ時間がかかったのかを計測することができ、設定した1つのタスクにかかる時間を見積もることができます。

今回は以上です。今後も「心理学」「神経科学」の観点から教育を捉えることで、学習効果を高める、暮らしを豊かにする情報を発信していけたらと思います。