ビハールの州都パトナーの貧しさと政治的課題

インドの西から東へ

NGOベアフットカレッジのあるランジャスターン州から東へ約1200Km離れたビハール州の州都パトナーに来ている。紀元前のマウリヤ朝時代に首都パータリプトラが置かれて栄えた場所だ。列車とバスを乗り継いで1日半かかる長旅だった。ジャイプルからの列車の席を確保できなかったため、途中のイラーハーバード(Allahabad)までバスで行くことに。

経路 Jaipur Junction 5/21 15:00(バス)→Allahabad 5/22 翌朝7:00到着 Allahabad 5/22 12:40(列車※8:00の列車が遅延)→Patna 5/23 0:10到着 

パトナの都市貧困

ビハール州はインドで最も貧しい州であり、州民の約3分の1が文字の読み書きができないと言われている(インド国勢調査2011年調べ)。

ビハール州の人口約80%は農村部に住んでおり、貧困層の割合は都市部に比べて農村部の方が高く、一般的に農村部の方が教育水準が低く教育機会も限られる傾向にある。しかしながら都市部においても、いわゆるスラムと呼ばれる環境の中で生活する人々が抱える課題は深刻そのものである。

スラムの特徴として挙げられるのは

-貧困
- 人口過密
-高い失業率
-安全な水や下水にアクセスできない
- インフォーマル住宅

などである。

こうした劣悪な環境の中で育った子供たちは、その非衛生的な環境によって伝染病に感染するリスクや栄養失調など健康を害する可能性が高まる。さらに十分な教育機会を得られないまま、犯罪などに巻き込まれたり、自ら犯罪に手を染めてしまう危険性もある。

実際私が訪れたパトナーの貧民窟でもドブとも言えるような水で食器を洗ったり歯を磨いていたりしている現状があった。また、家の中を見せてもらったが、中にはネズミが数匹とハエや蚊などの虫が飛び交っていた。

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この水で食器を洗い、歯を磨いたりしている。

政治的脆弱性

ガンジーマイダンという大きな広場周辺を歩いていると、たまたま二つのデモ行進を見かける機会があった。

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現場には沢山の報道陣が押しかけており、デモの指揮を執るリーダーらしき人にインタビューを行っているようである。私も何人かのデモ行進者と報道陣にデモの目的を聞いてみたが、どうやら一つ目は学生によるデモでビハール州政府が「大学施設を充実させることを約束していたが一向に改善の余地がない」という理由。二つ目のデモは「マフィアにって殺された住民に対する警察の対応への不満」だそうだ。

共通して言えることはビハールの住民はビハール州政府に対する不満が非常に高いということである。実際、ホテルのレセプションや学校施設関係者、図書館員、タクシーのドライバーなど様々な人がビハール州政府に対して「collapse」という表現を使っているのを聞いた。ビハール州政府はもはや崩壊していると。

政府、民間企業、国際機関、NGOなど様々なセクターが途上国における開発に関わっているが、一番重要なセクターはやはり政府であることを、ここビハールに来て痛感している。NGOなどの民間セクターは政府の手の届かないところに入り込み草の根で開発を支えているが、政府は市場経済育成のための基盤作りや公教育の充実を促す重要な役割を担っている。

これまでの自分は第3セクターやイノベーションといったテーマにアンテナを張ってきたつもりだったが、途上国の開発を国の政策的な視点から評価、批判していくことが今後の自分にとって必要な姿勢であることに気づかされる。学び多き現地調査である。

明日からは釈迦が悟りを開いたヒンドゥー教の聖地、ブッタガヤと周辺の農村部を訪れ、各教育施設で関係者にインタビューを行う予定だ。