売春という社会課題ー鈴木傾城【コルカタ売春地帯: インド最底辺の女たちとハイエナの物語】

 

 本書はインドのコルカタにある売春地帯で筆者が実際に体験したこと、売春宿で出会った女性やそこを取り巻く環境について述べられている。まるで小説を読んでいるかのように、その描写は細かく、具体的である。

筆者は実際にそういった売春宿を渡り歩き、常習的に利用しており、自身をハイエナと称する。性描写も含まれるため、はっきり言ってあまり推奨できる書籍ではない。私も時折不快感を覚える箇所もあった。しかしながら、貧困というテーマを考えたときに、売春という社会課題がいつもついて回る。貧しさゆえに、生活のために、見ず知らずの人と愛のない関係を結び、怯え、騙され、孤独感に苛まれる。売春宿で働くそうした少女たちの逃げ場のない絶望感が、本書を通してこれでもかという程に伝わってくる。

売春宿を利用するということは決して褒められたことではないが、開発という観点で売春というテーマに向き合ったときに、筆者のように実際に売春地帯で生活し、知り得た情報は貴重であると思う。なぜならNGOや国際機関がこの課題に取り組むにおいて、その環境に暮らす人々の声を聞き、人々が何をを考え、また売春がどのような社会背景・組織構造の中で行われているかを理解してこそ、根本的な問題解決に繋がるのではと思うからだ。