相手の視点に立つーレオ・ マルティン【元ドイツ情報局員が明かす 心に入り込む技術】

元ドイツ情報局員が明かす心に入り込む技術

元ドイツ情報局員が明かす心に入り込む技術

  • 作者: レオ・マルティン,シドラ房子
  • 出版社/メーカー: CCCメディアハウス
  • 発売日: 2012/07/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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情報を聞き出すには信頼関係

元ドイツ情報局員である筆者が現役時代にいかに犯罪組織の有力幹部から情報を引き出してきたかを、相手を信頼させるテクニックを散りばめながら紹介するノンフィクションだ。情報局員というと、拷問や脅しなどあらゆる手段を使って情報を聞き出すというイメージもある一方で、筆者は信頼関係を築くことが一番の近道であるという。

本書の面白いところは筆者が犯罪組織の情報提供者(V人材)と接触するところから始まり、徐々に親密になって信頼関係を築くまでをドラマのように描写しているところだろう。実体験だからこそハラハラさせるようなリアリティを感じる。

信頼関係を築くテクニック

また本書の中では信頼関係を築くための実に多くのテクニックが紹介されている。

例えば

・相手にとってメリットとデメリットは何か、相手にプラスになるかどうかを必ず考慮しなくてはならない
・相手に対してネガティブな気持ちを抱いていると、長期的なよい関係を築くことはできない
・相手をよく知ろうとしたり、相手の行動を理解しようとするだけでは足りない。相手が感じ取り行動する環境を理解するよう努めるべきである

というようにまずターゲットとなる人物をどう捉えるかというマインドセットの部分から始まる。

・相手の価値を高く評価して称賛すること
・優秀な情報員ほどよい面をたくさん見つけることができる
・原則的には、プライベートな話をすればするほど、信頼関係は深まる。

というような相手とのコミュニケーションの技術だったり、あるいは

 ・行動や練習を何度も繰り返すと、行動パターンの接続回路が中枢神経系にできる。そしていったん回路ができると、その後は意識して考えなくても接続される
・カリスマ性のある人物、つまり独特の魅力を周囲に放っているといわれる人は、相手が誰であろうとみな同等に扱っている点で際立ってる

というような自分自身のメンタルや行動様式についても触れている。

相手の視点にいかに立てるか

本書を読みながら総じて重要だと感じたことは、「相手の視点」に立つことだ。こちら側の要求を突きつけるのではなく、相手が自分をどのように見て、どのように感じるか。そして相手が何を欲しているのか。こうした相手目線の考え方によって対象者に重要感を抱かせ、対象者にとって安心感を与える不可欠な存在となることで必要な情報を聞き出していく。「相手の視点」に立つことは情報局に限った話ではなく、ビジネスでも私生活でも効果的なコミュニケーションを行う上で重要なことである。