インド映画「PK(ピーケイ)」ー学びの本質の次は信仰の本質ー※ネタバレあり

【鑑賞日】2017年4月8日

【おススメ度】★★★★★

f:id:eternalsekai:20170412141822j:plain

大ヒット映画『きっと、うまくいく』を超える

ミュージカルとコメディがうまく調和されて見る人を愉快にさせるインド映画。

2009年にリリースされた『きっと、うまくいく』(3 Idiots)というインド映画は2009年にインド映画歴代興行収入1位になり、日本でも大ヒットとなりました。『きっと、うまくいく』はインドの教育問題、競争社会、学業による自殺などインドを取り巻く社会問題を題材にした映画で、スピル・バーグ監督やビルゲイツなど多くの著名人を虜にした映画でもあります。

2014年に公開された『PK(ピーケイ)』は大ヒットした『きっと、うまくいく』と同じラージクマール・ヒラーニ監督の下で、『きっと、うまくいく』でランチョ―役を演じていたアーミル・カーンが再び出演するというところに注目が集まった映画です。

『PK』はなんと『きっと、うまくいく』の歴代興行収入を抜いてインドで歴代第1位となりました。その興行収入はインド国内で50億円、全世界では100億円を突破しているといわれています。

役者、アーミル・カーンが人気のわけ

インドのトップ俳優、アーミル・カーン

本作の主人公であるアーミル・カーンはなんとその外見からは見えない52歳。ムンバイで生まれた彼は8歳の時に子役として映画デビュー。役作りのためには妥協せず、『きっと、うまくいく』では44歳のアーミル・カーンが大学生役を演じるために肉体改造し、また次作の『チェイス』出演の時には体脂肪率9%台にするなどストイックぶりを見せています。アーミル・カーンはシャー・ルク・カーン、サルマン・カーンとあわせて3大カーンと呼ばれており、インド映画産業ボリウッドで絶大な人気を集めているそうです。

 アーミル・カーンのもう一つの顔

アーミル・カーンの魅力は単に彼の役者に対してのストイックさやプロ意識だけではありません。彼は自身の影響力や社会的な地位を社会のために活かしたいと、インドの子供や女性、カースト制度によって差別されている社会的弱者の地位向上を目指してTV番組を企画するなど社会貢献活動にも熱心に取り組んでいるのです。ビル・ゲイツと対談したり、米『タイム』誌による「世界で最も影響力のある100人」に選ばれたりとその活動はインド国内のみならず世界中から評価されています。

『PK』あらすじ

そんな注目の監督とトップ俳優が再びタッグを組んだ『PK』とはどんな映画なのでしょうか。

まず、気になるのがPKという言葉の意味。これはヒンディー語で「千鳥足の=酔っ払い」という意味があるそうです。本作の中での主人公は宇宙から地球にやってきた宇宙人。つまりこの映画はSF映画です。宇宙から裸でやってきた彼はインドのラージャスターン州に到着するものの、彼が持っていた宇宙船を操るためのリモコンを奪われてしまいます。ちなみにこのリモコン、ドラゴンボールのドラゴンレーダーそっくりです。絶対パクリだろ笑。リモコンを奪われ地球から出れなくなった彼は、当然地球でのルールをまったく知りません。そんな彼は奇怪な行動を繰り返し、やがて周囲からPK(ピーケイ)と呼ばれるようになるのです。

PKはリモコンを取り戻すべく、様々な人にリモコンのありかを訪ねるのですが返ってくる言葉は「神様に頼むしかない」というもの。そこでPKは神様に出会えればリモコンは取り戻せると信じ、神様を探し求める旅に出ます。

時を同じくしてベルギーではジャグーという女性がサルファラーズという男性に出会い恋に落ちます。しかしサルファラーズがパキスタン人のムスリムとわかると、敬虔なヒンディー教徒のジャグーの父親は二人の交際に難色を示し、ジャグーの父親は導師のタパスヴィー様へ相談に行きます。導師は「サルファラーズはジャグーを裏切るだろう」と予言をします。ジャグーはその予言がウソであると証明するためにサルファラーズニプロポーズするも、待ち合わせの教会にはサルファラーズは訪れず、ジャグーはそこで「文化の違いで結婚できない。これ以上連絡をしないでくれ」という手紙を受け取ります。

失意の中でジャグーはインドへ帰り、そこで「神様が行方不明」というビラを配っている宇宙人と出会うようになります。

 

『PK』の見どころは宗教のタブーに切り込むところ

ヒラーニ監督の作品には社会課題やタブーに切り込み、それをコミカルに表現するという特徴があります。前作の『きっと、うまくいく』では教育問題や自殺問題を取り上げ、本質的な学びとは何かについて視聴者に訴えることでこれまで当たり前とされていたインドの競争社会に一石を投じました。

本作品でも地球(インド)のことを何も知らない宇宙人が主人公になっているため、彼が放つ素朴な疑問や質問を通じて視聴者の私たちもハッと気づかされるようなことがたくさん出てきます。特に今回のテーマは神と宗教。

宇宙船のリモコンを奪われたPKは、神様に出会えればリモコンを取り戻せると信じ、神様を探しに旅に出る。ところが様々な宗教の中に入ってみると、同じ神様を信じている宗教同士の争いや貧しい人を無視して集金に勤しむ神の代理人たちを見て疑問を抱くようになります。宗教と神。とてもセンシティブなテーマですが、宇宙人で地球のこと何も知らないという絶妙なテーマ設定がタブーについてコミカルに切り込んでいくことを可能にしています。

インド社会についても理解を深めることのできる映画です。満足度も100%。お勧めの映画です。