天才たちの素顔-山中伸弥,羽生善治,是枝裕和,山極壽一,永田和宏【僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう】

僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう (文春新書)

僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう (文春新書)

 

本書は有名な4人、

山中伸弥氏:ノーベル生理学賞・医学賞受賞者

羽生善治氏:将棋名人

是枝裕和氏:映画監督

山極壽一氏:京都大学総長、霊長類研究者

の講演と永田和宏氏による各著名人との1対1の対談集である。

天才たちの素顔は謙虚だった

上記の著名人4人は世間では天才と称されながらも、彼らが若かりし頃は苦悩や失敗を経験していた。彼らの若い頃の挫折や苦悩を素直に現代の若者に伝えることで、彼らの存在をロールモデルとして身近に感じてもらうことで今の若者を鼓舞したいという永田氏の狙いがある。

素晴らしいと思ったのは、各自が本当に素直で、謙虚な姿勢で彼らの抱く思いを語っていることである。そんな素直な思いを引き出させることができるのはさすが永田氏とも言える。

特に共通して言えるのは、みな好奇心の塊であるということ。

本書の中で山中教授は、

ある何かが起きたときに、心底不思議と思えるとか、心底驚くとかっていうのは、研究者になるための一つの条件のような気がしますね。

 と語っているが、研究者に限らず、天才と称される4人の著名人は自分の分野でこうした好奇心を抱いている。

本気で闘ってきた人だからこそ、本気の人を認め、応援する

将棋の羽生名人が、「新しいアイデアは若者から学ぶことが多い」と謙虚に語る場面も印象的だ。 つい先日、中学生棋士の藤井聡太四段が羽生名人を破った後、羽生名人はその記録に「すごいことをやってのけた」と評している。自身が若者から学ぶ姿勢もさることながら、これからの若者に期待するのは羽生名人自身が中学生棋士として同年代の人たちと違った道を歩んだからこそ通じるものがあるのだろう。

山極壽一氏のゴリラ研究の話も興味深かった。ゴリラとチンパンジーの違いのような興味深い話を本人が一番わくわくしながら話しているのだから、聞いている人は引き込まれるに違いない。

本書を通じて、登場人物5人の著名人たちの、実績だけでなく、人柄の良さも伝わってくるので好感を持って楽しみながら読むことができる。