SEとは何か知りたいならまず読むべき本ー山田隆太 【SEの基本 この1冊ですべてわかる】

1. 基本=本質

本書は、特段難しいことが書かれているわけではない。

SEという職業に就いている人にとって、基本中の基本とも言える内容だ。
しかしながら筆者が言うように、基本=易しいではない。むしろ、基本=本質と考えた場合に、本書はSEとは何かについての本質的な解を得られる指南書になるだろう。

この1冊ですべてわかる SEの基本

この1冊ですべてわかる SEの基本

 

本書は技術書ではない。技術的な知識に加え、リーダーシップ・チームワーク、マネージメントスキル、ヒューマンスキルまでと、本来のSEの活動領域を示しながらSEに必要な能力、技能について述べられている。

私自身も最初のキャリアとしてSEという職を選んだ。文系出身で、まったくIT業界の知識がなかった私にとって、「SEって何やってる人?」「どんな仕事をする人?」といった率直な疑問に答えてくれる書籍を求めていた。
そんな中で出会ったのが本書だ。まさに職業としてのSEのいろはを教えてくれる。

2. 就活生にもオススメ

本書は就活生にもお勧めだ。
IT業界に関心のある就活生は多い。しかし、一言でITと言ってもその範囲は広い。WebデザインやWebマーケティングに関心があるのか、ドコモやソフトバンクのような通信なのか。
その中でSE(System Engineer)は、「情報システムの構築に携わるITエンジニア」と和訳されるように、システムの設計・開発・テストなどを手がける職種である。
SEと聞くと情報系や工学部などの理系出身者が多数を占めていると思われるが、意外にも文系出身者が多い。

その理由の一つは、プログラミング言語をガッツリ使って開発するプログラマーとは異なり、SE本来の仕事は顧客と「システム構築を通して何を実現したいのか」という要求分析・要件定義を行い、システム全体図を表す仕様書と呼ばれるドキュメントの作成、どんなシステムにするかという基本設計、どんな機能を有するプログラムにするかという詳細設計などを作成することが主な仕事だからだ。
つまり、顧客と接することや文書を扱う業務が非常に多いのである。もちろん企業によってはプログラミングを行うSEもいるし、SEだからといってプログラミングの知識が不要ということではない。

これについて本書でも

SEにはプログラミングの深い知識が必要です。  
なぜならば、プログラムを知らずして設計書は作れませんし、もし稼動しているシステムに問題が発生したときに、 ・どのような状況で、
どのような問題が発生したのか。問題発生時、プログラムはどのような状況だったのか ・システムのどのあたりに問題がありそうなのか。
問題解決方法として、どのような選択肢が考えられるかを考える必要がある。

と述べられている。

こうしたSEという職種の全体像を把握することは、就活するうえでのミスマッチを防ぐことができる。プログラミングをやりたくてIT業界に入ったのに、
SE職で入ったためにまったくその機会が得られないということが防げるわけだ。

3. プロジェクトマネージャーも読んで損はない

本書は就活生や私みたいにSEの見習いのような人だけでなく、プロジェクト管理を行うマネージャークラスの人にも推奨できる1冊だと思う。
先にも述べたが、本書は技術的な知識から、リーダーシップ・チームワーク、マネージメントスキル、ヒューマンスキルにまで踏み込んだ内容になっている。
また、筆者も自身の経験から、プロジェクトの成果は単に高度な技術を持つ人材の有無ではなく、ヒューマンスキルやマネジメントの要素が重要な位置を占めていると実感してきたからこそ、本書でも技術以外の部分にページを多く割いて説明している。

基本とは本質である、というのは言いえて妙で、まさに本書ではSEの本質を学ぶことができる。


SEに関心のある就活生、駆け出しのSE、プロジェクトマネージャーまで幅広く役に立つ一冊である。