社会貢献を仕事にする方法とは-百世瑛衣乎【社会起業家スタートブック】

NPOへの関心が高まってきている

米国では就職人気ランキングにTeach for AmericaやPeace Corpsのような非営利団体が、有名な大手企業を抑えてランクインしている。

日本でもこうした社会を良くする仕事をしたいという若者が増え、近年では非営利企業への就職人気も高まってきているのではと思う。一昔前ではNPOというとどちらかというとボランティア・無償のようなイメージが強く、NPOへの就職は世捨てのように考えた人もいるという。しかし最近では、優秀な大手企業の若者が会社を辞めてNPOを立ち上げたり、NPOへ転職したりするケースをよく耳にするようになった。

実際、非常に高学歴で優秀な人たちが多く働いているNPOも増えてきた。逆に言えば、いかに優秀な人材を確保するか、という点で、NPO間の採用競争のような側面があることを否定できないのではないだろうか。優秀な人材を確保するために、各NPOはビジョンやミッションだけでなく広告戦略にも力を入れていく。優秀な人材と資金が豊富なNPOは事業を拡大させ、組織を強くさせていく。こうした社会貢献をビジネスの手法で行っていく、いわゆるソーシャルビジネスが拡大しているらしい。

なぜ優秀な人材が非営利セクターへ向かうのか

ところで、なぜ総合商社や大手広告会社、あるいは戦略コンサルティングファームといった一流企業に勤める若者が、その地位や経済的待遇を捨ててまで非営利団体に目を向けるようになるのだろうか。

その理由は個々人で異なるためにはっきりとはわからないが、途上国に比べて経済的に恵まれている日本において、物質的な満足度への追及に限界を感じ、人生をどのように生きるべきか、といったような問いを持つ人が増えたからではないだろうか。

目の前の利益を追及するよりも、社会を良くすることで人との繋がりを持ちながら、支え合いながら、共に喜びを共感していきたいのだと思う。さらにその思いは、3.11の東日本大震災を契機に、人々の生き方、働き方への考え方の変化が加速したのではないかと思う。そしてNPOは大企業では取り組めないような課題にも挑戦できる。団体のビジョンをどこまでも追及できる。そうしたやりがいも理由の一つにあるだろう。

社会起業家スタートブック――自分と社会を活かす仕事

社会起業家スタートブック――自分と社会を活かす仕事

 

そうしたわけで、自分も一から組織を立ち上げ、社会起業家として生きていきたいと考える人が増えてきた。本書はそういった社会起業家を目指す人たちに対し、すでに成功を収めているNPOなどの事例を交えながら、何から始めてどのように進めればいいのか、という社会起業の「いろは」が詰まっている。特に、だれもが悩む金銭面についても言及されているので、これから社会事業を起こしたい人には一読の価値があるだろう