TVや漫画ばかり読むと”バカ”になる理由

人は見た目が9割』というベストセラーになった書籍がある。

人は見た目が9割 (新潮新書)

人は見た目が9割 (新潮新書)

 

この書籍自体は読んだことないが、あまりにも有名な本なのでタイトルぐらいは聞いたことがあった。そしてつい最近、自宅の本棚を整理していると、むかし積読しておいた『やっぱり見た目が9割』という本が出てきた。パラパラと読み始めると面白く、あという間に読み終えたので備忘録として感想を記したい。

”見た目”とは

本書は誰もが気になっているような、そして誰もが予想できそうな、そんなキャッチ―なタイトルではあるが、中身は硬派で説得力がある。

”見た目”というと、我々はすぐに容姿を連想しがちだ。しかし、確かに容姿も”見た目”の一つではあるが、それがすべてではない。

本書でいう”見た目”とは、つまるところ非言語的コミュニケーションのことである。一般的に会話や文字など言語を解したコミュニケーションをバーバルコミュニケーションと呼び、態度、表情など言語以外の要素によるコミュニケーションをノンバーバル(非言語的)コミュニケーションという。そしてコミュニケーションの上手い人は、この非言語的コミュニケーションに長けているというのは有名な話だ。

アルバート・メラビアンという米国の心理学者が、提唱した「メラビアンの法則」については恐らく聞いたことがある人も多いだろう。非言語的コミュニケーションを語る上でメラビアンは外せない。彼はコミュニケーションはその内容よりも、言語情報以外の非言語的な要素で9割が決まってしまうという実験結果を発表した。

本書で言う見た目とは、こういう文脈における非言語的コミュニケーションのことだ。筆者の竹内氏はこの非言語的コミュニケーションをさらに具体的に次の7つに分類している。

①外見

②動き

③表情

④声

⑤空間

⑥接触

⑦色と匂い

 

ここには分類されていないが、学歴や職歴、結婚離婚歴、犯罪歴などの"経歴"も、非言語的コミュニケーション、つまり”見た目”の内に入るだろうと予想できる。

なぜテレビや漫画を読むと"馬鹿"になるのか

本書で興味深く、教育的要素を感じたところは、なぜ大人は子供に「TVや漫画ばかり読むと”バカになる”」と躾けるのかという部分である。大人の言いたいことは理解できそうではあるが、”なぜ”を言語的に説明できる親はなかなかいないだろう。

筆者はその理由を「文字を絵にする」能力が磨かれないからと分析している。我々は単なる文字を読むことで想像力を働かせ、その文字を頭の中で絵にすることを試みる。こうした「字を絵にする」訓練を行うことで、「絵を文字にする能力」も養われるという。

TVや漫画などの「絵」ばかり見ていては、頭の中で絵を描く努力がなされず、「文字を絵にする能力」も養えない。そうなると、自分の感じたことを言語化することが難しくなるというのである。

自分の感じたことをしっかり言語化する訓練を積むことで、「絵を文字にする」能力が養われる。そういう意味では、相手の言葉をしっかりと聞き、その言葉に対して自分の頭の中で「絵を描く」ことも、想像力を養う良い訓練になる。そこで対話が重要になってくる。「我」と「汝」が語り合うことによって世界が拓けていくという、マルティン・ブーバーの「対話の哲学」だ。

本書では語られていないが、私は「文字を絵にする能力を鍛える」という文脈で、対話も非常に重要だと思う。