報道機関が仕えるべきは国民であって、政府ではない『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』

ジャーナリズムとか、メディアとか、マスコミが司法・立法・行政の三権に次ぐ「第四権力」と呼ばれるようになってから久しいですが、本作ではジャーナリズムが果たすべき真の役割を垣間見れた気がします。

【鑑賞日】2018年4月7日 【おススメ度】3.8/5

あらすじ

あらすじはフィルマークスからの引用です。

ベトナム戦争が泥沼化し、アメリカ国民の間に疑問や反戦の気運が高まっていた1971年。

国防省がベトナム戦争に関する経過や客観的な分析を記録し、トップシークレットとなっていた文書、通称“ペンタゴン・ペーパーズ”の存在をNYタイムズがスクープ。

アメリカ初の女性新聞発行人として足固めをしようとしていたキャサリン・グラハム、そしてその部下である編集主幹ベン・ブラッドリーをはじめとするワシントン・ポスト紙の面々は、報道の自由を統制し記事を差し止めようとする政府と戦うため、ライバル紙であるNYタイムズと時に争いながら連携し、政府の圧力に屈することなく真実を世に出そうと決断する―。

ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書 - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarks 

見どころは後半戦

スピルバーグ監督作品、しかもメリル・ストリープ×トム・ハンクスの、2大オスカー俳優初共演ということで期待して観ました。面白さは後半に凝縮されています。

前半は緩やかに物語が進み、若干の冗長さも相まって正直退屈感が否めず。。

しかし後半になると展開も早くなり、楽しくなります。

これまで癒着のような関係だった大統領にも立ち向かい、またライバル会社でありながらも新聞社同士が協力しながら「報道の自由」を守り抜こうとするシーンは胸打たれるものがあります。報道機関って本来こうあるべきだよなぁと。

アメリカ国民の感情が凝縮

作品を通してアメリカ国民の感情みたいなのが伝わってきます。

特にメディアに対する誇りと信念

近年、政治家による痛烈なメディアバッシングは、報道の自由に対する危機に繋がっています。
ハフィントンポストの記事にもあるように、自由の国アメリカでも、メディア、特にニューヨーク・タイムズやNBC、ABC、CBS、CNNのような報道機関に対してトランプ大統領が「アメリカ国民の敵」だと糾弾したこと、メディアに対する「ムカつく」「無能」「的外れ」「役立たず」「不快」「最低」「退屈」「大失敗」「ゴミ」「フェイクニュース」といった発言が各メディアの信頼度を低下させているといいます。

こうした現在の状況だからこそ、本作のように、政治家に媚びずに、裁判にかけられることを覚悟してでも、国民に真実を伝える勇気を持ったジャーナリズム精神がアメリカ国民の胸を熱くさせるのでしょう。そういった情景描写が本作では非常に分かりやすく描かれています。

あとはやっぱりニクソンに対する感情ですね。ニクソン大統領の業績は功と罪の両論あると思うのですが、アメリカ国民にとってはニクソンはもう本当に悪役同然なんだなぁと、それが映画で伝わってきました。

 

作中には胸が熱くなるような名台詞が何度も出てきます。

特に個人的にグッと来たのは「報道機関が仕えるべきは国民であって、政府ではない」という判決文。これぞアメリカのジャーナリズム精神を表している言葉といえます。アメリカに関わらず、報道機関に関わる人が持つべき精神だと思います。良い意味で、とても教訓的な映画。