ジェノサイドを超えて、ルワンダは世界で最もICT戦略に成功している国になった

以前書いた記事でルワンダの悲惨な虐殺の歴史について触れました。 

しかし、ルワンダはこの悲惨な歴史を乗り越えて、今最もICT推進が成功している国と言われています。

1. ICTってなに?

まず、用語の確認からしたいと思います。IT(Information Technology)よりもICT(Information and Communication Technology)という言葉が盛んに用いられるようになりました。ITとICTはほぼ同義として扱われていますが、ICTは情報通信技術と訳されるように、情報や知識の共有により焦点を当てています。特に「人と人」「人とモノ」の繋がりといったコミュニケーションに重点が置かれているIT技術のことです。

分かり易く言えば、ITはコンピュータ関連の技術それ自体を意味し、ICTはその技術の活用方法と捉えるといいかもしれません。

例えば、SkypeやLINE、Youtubeなど、人と人、人とモノをつなげるこれらはまさにICTです。

2. 国際開発xICT=ICT for Development (ICT4D)への注目

こうしたICTの技術を、近年では国際開発(国際協力)の分野で活かすことが注目されています。戦後に多くの国が独立しましたが、独立して何十年経った国でも未だに貧しい国は多く、既存のやり方ではなかなか現状が改善されない現実があります。そこで注目されてきたのがICTを国際開発の分野で活かすICT for Development(ICT4D)です。

国際開発のにおけるICの活用は、直接的に恵まれない人々の利益のために用いられる方法と、間接的に全般的な社会経済環境の改善のために、援助機関やNGO、政府、企業を支援する方法があります。ICTが実際にどのように国際協力で用いられているのか、その事例は以下のウェブサイトから知ることができます。

ICT for Development.JP | 世界中のICT4Dのトピックを日本語で

日本のNGO e-Educationのように、途上国で映像教育を通じて教育普及を行う事例も、ICT4Dの事例と言えるでしょう。

ICT4Dは日本ではまだまだニッチな学問ですが、イギリスでは既にこうした学問が学べる環境が充実しています。特に英国マンチェスター大学ではICT4D専用のコースがあり、ICTを活用した国際開発について専門的に学ぶことができます。

MSc ICTs for Development (2018 entry) | The University of Manchester

私が所属していたUCL Institute of Educationでは、ICTxDevelopmentではありませんが、ICT x Educationを専門的に学ぶことができます。こうした知識は教育分野での国際開発に有用であると思います。日本でも昨今、教育現場にICTを導入するということで盛り上がっていますが、その効果性や効率性をしっかりと検討した上での方針なのかどうかは疑問です。教育現場のどのような場面で、どのようにICTが用いられるべきなのか。そしてそれをどのように評価するのか。UCLではこういった観点で教育x ICTについて学ぶことが可能です。

Education and Technology MA | UCL London's Global University

日本でICTxDevelopmentを専門的に学べる大学は、神戸情報大学院大学です。この大学はICTで課題解決する人材育成という理念を掲げているように、国内外の社会課題をICTで解決していく方法を研究するのに有用な国内随一の大学です。

ICTで課題解決できる高度な人材を育成 – 神戸情報大学院大学

3. ルワンダはICT推進に成功している国

上記で紹介したように、途上国の社会経済の発展のために、ICTを途上国の現場で活用することが注目されています。その中でもICT推進において、最も成功的だと言われている国が、あのジェノサイドを経験したアフリカの国、ルワンダなのです。

世界で最もICT促進に成功している国―ルワンダ | 国際連合工業開発機関(UNIDO)

ルワンダは内戦が終わった後、2006年から2010年まで世界銀行による1,000万ドルの資金で「eRwanda」という電子政府化を推進し、また、この頃から国民のインターネットや携帯電話の利用も拡大してきました。

日本も2010年からルワンダ政府が掲げる第3次ICT戦略の作成を支援してきました。そして継続的にルワンダのICTの民間セクター育成に関わってきたのです。その成果として、ルワンダ経団連ICT商工会議所kLabイノベーションセンター(IT起業家向けの会員制コワーキングスペース)が設立され、ルワンダが国家事業としてICT戦略を推進する環境がさらに整うようになりました。

このルワンダのICT戦略に深く関りを持つの機関が、先ほど紹介した神戸情報大学院大学です。神戸情報大学院大学は今後ルワンダで1.000人のITエンジニア育成プロジェクトを主導していく予定です。

ルワンダでのICT人材育成事業に関する覚え書きを締結しました – 神戸情報大学院大学

また、これまで消費者としてICTを利用していたルワンダの国民が、雇用を生み出す起業家として育つことができるように、アフリカン・イノベーション・ファンドの設立が計画されています。これはルワンダでイノベーションを起こせそうな事業に出資者が投資を行うベンチャーキャピタルで、ルワンダ政府も出資することを表明しています。

4. まとめ ルワンダの成功事例がアフリカに広がる可能性

ルワンダは人口1.200万人ほどでアフリカでも小国です。

ルワンダ共和国 

1.面積  2.63万平方キロメートル
2.人口  1,210万人(2014年,世銀)
3.首都  キガリ(kigali)
4.民族  フツ,ツチ,トゥワ
5.言語  キニアルワンダ語,英語(2009年,公用語に追加され,仏語に代わって教育言語となった),仏語
6.宗教  キリスト教(カトリック,プロテスタント),イスラム教

ルワンダ基礎データ | 外務省

そういった意味では、試行錯誤しながらいろいろと新しいアクションを起こすのに適した国と言えるかもしれません。実際、ドローンの実用化や、ICT産業の集積を⽬指したICTパークの建設など、ICTに関わる様々な取り組みが行われています。こうした一つ一つのプロジェクトが成功すれば、その結果として他のアフリカ諸国にも大きな刺激を与えていくことでしょう。ルワンダがアフリカのICTのハブとなる日はそう遠くないかもしれません。

また外国企業にとってもルワンダはビジネスのしやすいアフリカ諸国の一つと認識されており、既に様々な外資系企業がルワンダで事業を行っています。日本企業もDMM.comがルワンダの有名ITベンチャー企業を買収し、フィンテック事業に取り組むなど、ルワンダへの注目が高まってきています。

ルワンダ。

アフリカン・ドリームが期待される、これからが非常に楽しみな国です。

 

参考文献:

https://ja.wikipedia.org/wiki/ICT4D

https://ict4djapan.wordpress.com/

http://www.unido.or.jp/news/2407/

https://www.kic.ac.jp/news/3186/

http://special.nikkeibp.co.jp/atclh/NBO/16/jica1111/vol3_2/index.html

http://www.rexvirt.com/wp-content/uploads/2017/07/JICA20170718.pdf

http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/rwanda/data.html#section1