これからの「少人数制授業」の話をしよう

こんな教育関係のニュースを見つけました。

Education World: Do the Benefits of Smaller Class Sizes Always Equal the Hype?

少人数制度のクラスは世間で言われているように常に効果があるのか?というテーマです。

近年、授業の「少人数制度」を売りにして学生を惹きつけようとする教育機関は珍しくありません。

一人の教師に対して少人数の生徒という授業スタイルは、手厚く指導してもらえるというイメージを持っている人も多いことでしょう。こうしたイメージが独り歩きし、いつの間にか少人数制での教育は無条件に"良い"と認識されがちです。

しかし、果たして本当に少人数制度は”善”なのか?少人数制度を取り入れることで、逆に学びを阻害する要素は全くないのか?

今回は教育の「少人数制度」をテーマに取り上げてみます。

「少人数制度」で学力が向上した事例

教師1人に対し生徒が30人以上のマンモスクラスは教師がコントロールできる範囲を超えており、教室マネジメントの観点からも教師の頭を悩ませる問題の1つとなっています。また、親から見ても、1:10、1:5のような少人数制度のクラスの方が「なんとなく」学習効果が期待できそうで、様々な教育専門家もこぞって小規模クラスのメリットを主張しています。

実際に、学力向上の期待という意味では、ニューヨークのとある公立学校で行われた実験により小規模クラスによるメリットが明らかになっています。研究はMichael Gilraineによって、ニューヨーク市の473校の小学校3学年から6学年までのクラスを対象に行われました。この実験では、生徒数32名のクラスを基準にし、もし生徒数が32名から33人以上になれば新しい教師一人を加え、逆に生徒数33人から32人以下になった場合は新たに教師を加えることはしません。

研究の結果、学生数がわずか4人減少しただけで、2か月後の数学と読解の成績が他のクラスと比べ向上したことが分かりました。つまり、クラスのサイズが小さくなるほど、生徒の学力が向上することが認められたのでした。

実験では、生徒数が33名以上となり新たに教師を雇う必要が生じた場合に、急いで採用をするため、経験や資格が乏しい教師が雇われ、教室の混乱が起きる可能性が高まることを示しています。

これに類似した研究はすでに1980年にも行われていました。米国テネシー州の80校以上で行われた実験では、特に小学生において、クラスの規模が小さくなればなるほど学生の学習効果が高まることが分かったのです。

参考:Education World: Do the Benefits of Smaller Class Sizes Always Equal the Hype?

少人数制度になって改めて教師の質が問われる

以上の研究を見ると、少人数制度には学習効果の向上が期待できる側面があることが分かりますが、一方でこうした少人数制度を導入する上での課題についても考慮すべきでしょう。そこで課題となるのが教師の質です。

大規模クラスでも少人数制度でも、教師の質が学力向上に影響を及ぼすことは否定できないでしょう。むしろ、少人数の方が教師の影響力も大きくなり、教師の質による学力への効果も差が大きくなるのではないかと思います。

少人数制度と大規模クラスでは、授業の進め方や配慮すべき点が異なるかもしれません。単に「大規模」<「少人数」という優劣ではなく、少人数制度になることで教師自身の指導力がこれまで以上に試されることを自覚し、より効果のある指導方法を検討していく必要があるでしょう。