アフリカでフィンテック!ネット通信いらずのM-PESAでイノベーションが起きる

こんにちは。世界人です。

2017年は仮想通貨元年ということで、世界中で仮想通貨の売買が盛んに行われましたね。仮想通貨のように、テクノロジーの発達によって既存の金融機関以外の機関が金融活動を行えるようになりました。こうしたFinance(金融)とTechnology(技術)を組み合わせたものをフィンテック(FinTech)と呼びますが、近年アフリカではフィンテックが生活発展のためのソリューションとして注目を浴びています。

そこで今回は、アフリカで現在爆発的に普及しているM-PESA(エムペサ)についてご紹介したいと思います。

未だ25億人が銀行へアクセスできない現状

まず考えたいのが、どうしてアフリカでフィンテックが広まってるのか?ということです。それはズバリ、銀行口座へのアクセスの問題です。
日本では個人が銀行に口座を持てないということはほとんどないですよね?しかしアフリカや途上国の大半の国では、今でも銀行に口座を持つことができたり銀行から借り入れを行える人の方が少数派なのです。
世界銀行が148か国、約15万人を対象に(2011年)実施した調査によると、1日2ドル未満で暮らす成人の75%以上が正規の金融機関を利用していなかったことが分かりました。銀行口座を持っていない人口は世界で25億人と言われています。

途上国におけるフィンテックは、まさに銀行へアクセスできないという課題を解決するソリューションだと言えます。

金融包摂を加速化させるモバイルファイナンス

こうした貧困によって伝統的な金融へのアクセスの無い人に金融へのアクセスを提供することを金融包摂といいます。
金融包摂はもともとグラミン銀行を創設したムハマド・ユヌス氏がノーベル平和賞を受賞したことで、マイクロファイナンスという言葉とともに世界的に注目を浴びるようになった言葉です。
つまりすべての人に金融へのアクセスを提供する金融包摂が、最近では金融技術x IT技術を用いたフィンテックで行われるようになったということです。
特にモバイル端末を通して金融へアクセスすることをモバイルファイナンスと呼びます。

そもそも金融のデジタル化・モバイル化とはどういうことなのでしょうか?今までの金融サービスと何が異なるのでしょうか?
パッと思いつくことは、単純ですが銀行へ直接行かなくても、銀行口座をスマホで確認できることです。また、金融のモバイル化によってお金の送受金もスマホ一つで行えます。世界では(日本もそうですが)まだまだ銀行に直接行って、書類を記入して・・というプロセスを経なければ送受金できない銀行が多いですが、金融のモバイル化・デジタル化によって、時間や空間の制約がなくなり、相手や自分が世界のどこにいても、スマホ一つで口座の確認、お金の送受金ができるようになります。

さらに、金融のモバイル化・デジタル化によって銀行口座を開設する際に必要な手続きをすべてスマホで行えるようになるのです。つまり銀行という建物に直接行かなくても、銀行口座を持つことができるようになる。融資も受けられる。これがモバイルファイナンスです。

M-PESAというモバイルファイナンスの成功例

では、こうしたモバイルファイナンスが実際に人々に使用され、彼らの生活向上に役立っている事例を紹介しましょう。

それが、M-PESA(エムペサ)です。

M-PESA(エムペサ)は東アフリカのケニア共和国で大流行しているモバイル送金サービスで、近年では他のアフリカ諸国やヨーロッパでも普及が始まっているサービスです。どれぐらい流行しているかというと、なんとケニアのGDPの約5割を超える金額が動いていると言われています。

では、M-PESAとはいったい何なのかと言えば、それはずばりモバイル送金・決算サービスです。ケニアでは公共料金や教育費などの支払いから、給料の受け取りまで今やM-PESAで行われています。もはや生活のインフラになりつつあるのです。

アフリカではほかにも送金サービスがあるはずですが、どうしてM-PESAがこんなにも普及しているのでしょうか?それはM-PESAのサービスの特徴と、ケニアという国の風習がうまくマッチしたからと言えます。

例えば、M-PESAではネット回線ではなく電波を使っています。つまりスマホではなく、ガラケーでお金の送受金ができるのです。近年アフリカでもスマホが爆発的に普及してきたとはいえ、ネット回線のインフラはまだまだ途上で郊外に行けばネットへのアクセスができない場所も多くあります。そしてスマートフォンもまだまだ高額で買えない人も沢山います。そういった意味ではガラケーでも利用可能なM-PESAは市民にとっては大変便利なのだと言えるでしょう。

SIMカード一つで可能となるM-PESAの機能

ところでお金の送受金といえば、通常本人確認済みのアカウントが必要になります。M-PESAではどのように対応しているのでしょうか?

それはずばりSIMカードです。

携帯電話を使う時にはそれぞれ固有のSIMカードが必要です。そしてM-PESAのアカウント情報は全て携帯のSIMカードに集約されているのです。
ケニアでは携帯電話を持つことができるのは18歳以上からというのが原則です。18歳以上になると国民はIDカードが配られ、そのIDカードを提示することで初めてSIMカードを購入することができるという仕組みになっています。だから携帯電話それ自体が身分証明書の1つとしても機能するということになるのです。そして、このSIMカードに、金額の情報などが記録されていくということです。

M-PESAで利用できる機能は主に送金、引き出し、通話料購入、銀行口座、支払い・決済、アカウント情報という6つの機能です。

送金:相手の携帯番号・送りたい金額・あらかじめ設定した暗証番号を入力したショートメッセージを送信するだけで、M-PESAの口座から任意の相手にお金を送ることができる機能です。

引き出し:近隣のM-PESA取扱店で現金を引き出す機能。金額・取扱店番号・暗証番号を画面上で入力し、身分確認をすればその場で現金を受け取ることができます。つまり現金化です。

通話料購入:M-PESAアカウントにある金額から通話料を購入してチャージできます。自身の通話料だけでなく、他人の通話料も購入することができるから便利です。

銀行口座機能:預金をしたりローンを組むことなどができる機能です。これはM-PESAとは別に登録が必要になります。

支払・決済:電気代や水道代・学費などの支払いを自動的に決済してくれる機能です。

アカウント情報:自分のアカウント情報を照会する機能です。

以上6つがM-PESAの今のところの機能ですが、今後も様々な機能が追加されていくでしょう。

取扱店の数は具体的には分かりませんが、コンビニのような感覚で街の至る所にあるようです。緑色がM-PESAのテーマカラーなので、取扱店はこの緑色の看板を掲げているからすぐに分かるようになっています。

M-PESA(フィンテック)は新たなビジネスを生む

M-PESAの本質は携帯電話サービスじゃなくて、ID化されたSIMカードです。SIMカードに口座の情報、ローンの借用情報、支払い情報などが携帯電話の端末ではなくSIMカードに詰まっているからです。
なので、一人一台の携帯電話を所有しなくても良いってことです。SIMカードさえあれば携帯電話を常時持っていなくても、必要な時に誰かから借りられれば利用できるのです。そうなると携帯電話の販売だけでなく、携帯電話のレンタルサービスなんかが始まる可能性があります。携帯電話を購入できるお金がなくても、安くレンタルできれば金融サービスを利用できるという点でとてもイノベーティブです。また、こうしたフィンテックの登場によって、その機能や役割を利用した新たなビジネスが生まれ、アフリカ経済の発展に繋がっていくようになるでしょう。

アフリカとフィンテック。まだまだ目が離せない面白い分野だと思います。

 

参考文献:

News & Broadcast - 世界の貧困層の4人に3人が「銀行口座持てず」-新データベース

「金融包摂」って何? まだあったFinTech(フィンテック)で伸びる可能性のある領域 | 投信1 | 1からはじめる初心者にやさしい投資信託入門

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