国連機関で働きたい人が海外の大学院で学ぶべき理由

イギリスには多くの大学・大学院で開発途上国の諸問題を取り扱う「国際開発学」のコースが設置されています。開発学は日本では大学院で学ぶというイメージが強く、学士課程では国際政治、国際関係学の中の一部分として扱われることが多いようです。
さて、そんな開発学ですが、開発学の学位を取得した少なくない学生は卒業後の進路として国際機関、いわゆる国連組織で働くことを一つのキャリアプランとして考えるようになります。別に開発学を学ばなくても国連で働きたいと考えている人は沢山いると思うので、今日は自身が英国の大学院で学びながら体感した、国連機関で働きたい人が海外の大学院で学ぶべき理由を考えてみたいと思います。国連で働くには修士以上の学位が必須となるので、今回は海外の大学院としました。

1 語学力

「語学なんて手段に過ぎない」「英語だけできても・・」
こんなことを言える人は恐らく圧倒的に英語ができる人かそもそも語学の勉強をあまりしたことない人だろうと思います。実際に国連機関でも相当高度な語学力が求められます。
どの機関でもベースは英語になるかと思いますが、スペイン語やフランス語など国連公用語に認定されている言語を取得することは大きなアドバンテージになるかと思います。特にUNESCOなどパリに本部を置く国際機関などは業務においてもフランス語を使用する機会が多く、英語に加えてフランス語ができた方が採用に有利なのは言うまでもありません。しかしどの機関で働くにせよ、高度な英語力は必須です。
さらに採用のプロセスをクリアできたとしても、次に待ち構えるのが実際の業務上における語学の壁です。
国連機関というのは平たく言えば官僚組織、お役人の仕事なので当然、公式文書を書けるだけの英語力が必要になります。

こうした面から海外の大学院に進学することは生きた英語力(語学力)を身に着けられる最良の環境だと思います。実際に欧米の大学では在籍中に大量のリーディングとペーパーが課せられるのでそれらを必死にこなすだけでも実務能力の向上に役立っているでしょう。加えて、アメリカや英国の場合、レクチャーよりもディスカッション形式のティーチングスタイルが主流で、この点においても日本人が苦手とするスピーキングを鍛え上げる絶好の場となり得ます。UNESCOやOECDなどにターゲットに絞った場合、英米の大学院ではなくフランスの大学院に進学することも良い選択だと思います。

2 リーダーシップの訓練場として

英国の大学のクラスで授業を受けていると、「ああこういう人が国連で働くんだろうな」って感じさせる人に出逢う時が多々あります。それはリーダーシップがある人。そもそもリーダーシップとは何か?という議論になるのですが、僕はここではリーダーシップを目標や物事を成し遂げられる能力と仮定したい。国連組織の中においても、全体目標があってさらに個々の目標、やるべきことがあると思いますが、その目標を成し遂げるためにはリーダーシップは非常に大切な要素であると思います。
大学院のアドミッションを通過する人はみんな大なり小なり何かを成し遂げた経験を持っています。そういった人たちが今度はグループワークなどを通じて教室内でリーダーシップを発揮していきます。大きな組織を率いていくだけがリーダーシップではない。共通の目標に向かって、自分には何ができるのかを自ら考え実践し、チームに貢献していく。こうした物事を成し遂げられる能力というのは英国の大学院では圧倒的に鍛えられます。なぜならチャレンジの場数自体が多いからです。
付言すると、こうした環境の中で、グループディスカッションやグループアクティビティにおける自分の立ち位置はそのままダイレクトに国際機関における立ち位置に繋がる気がします。例えば、日本人は比較的にあまり意見を多く言わず、他者の意見と意見を調整する役割であることが多く、逆に中国人はあまりよく論点が定まってないのにとりあえず爪痕を残そうと何かしらよく分からない発言をする。(こうした括りは失礼だし一般化できないのですが、自分のクラスでのディスカッションの場を見てて感じたことです)
国際機関の中で「どのように働きたいか・どのように貢献したいか」を考えた際に、例えば日本人として国連内でもイニシアチブを執っていきたいと思うなら、そのクラスのディスカッションの場でもイニシアチブを執っていけるように訓練する必要があるわけです。繰り返しますが、海外の大学院ではそうした訓練ができる環境が整っています。

3 意識高い系が集う環境

最後に、これは直接国連と関係するか分かりませんが、僕が英国の大学院で学んでいてとても素敵だなと感じたこと。それは意識高い系な人で溢れているということです。ITやビジネス系ではなく、わざわざ大学院で開発学を学ぼうとするぐらいなので意識高い人が本当に多いです。「世界を変えたい」「国や地域を良くしたい」「課題を解決したい」と自分のゴールや夢を堂々と語れる人ばかりです。「意識高い系(笑)」と冷ややかな視線で見つめる人たちが淘汰されていく環境です。彼らは自国や世界が抱える諸課題を本気で解決したいと思って学びに来ています。そのドリームビッグを共有し合える環境というのはとても刺激的です。彼らはそうしたドリームビッグを叶える一つの手段として自然と「国連」という選択肢を口にするのです。
彼らは「国連で働いている」自分になりたいのではなく、現存するイシューから考えて「国連を通して成し遂げたいことがある」という結論から国連で働くことを選択するのです。
このように「何になりたいか」ではなく、「何を成し遂げたいか」という視点は国際機関で働くにおいて不可欠でしょう。
海外の大学院ではアカデミックな次元にとどまらず、実際に現場での経験を重んじるプロフェッショナル大学院のプログラムが充実しており、そこに集まってくる人は本当に多種多様な経験と問題意識を持っています。
彼らと一緒に学ぶことは、きっと自分の働き方に対する意識や国連で働くという意味を再考する機会になることでしょう。

以上が、僕が国連で働くことを志す人たちと同じ教室で学びながら体感した、国連機関で働きたい人が海外の大学院で学ぶべき理由です。

 

こうやって書いてみてふと思ったのが、外資系コンサルや外資系金融とかでバリバリ働けるような人こそが国連でやっていける人材なんじゃないかと思います。