シリアスなテーマを愉快に、明るく、美しく描いた不朽の名作『ライフ・イズ・ビューティフル』

【鑑賞日】2017年8月20日

【おススメ度】★★★★

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前半はママと恋に落ちるまで

主人公はユダヤ系イタリア人のグイド、時は第二次世界大戦直前の1939年。
友人と一緒に北イタリアの田舎町へやってきたグイドは、小学校教師のドーラに一目ぼれし、数々のユニークなアプローチでドーラに思いを告げ、ついに二人は結婚します。二人の間にはこの本作品の中でも可愛らしく癒しのキャラとして活躍する息子、ジョズエが生まれます。

後半は強制収容所での親子の絆

物語の前半は、陽気でグイドがいかにドーラを落とすかをコメディのように描いていてとても愉快です。しかし、物語の肝は後半。楽しく幸せだった日常も束の間。戦争が激化するにつれ、ナチス・ドイツはユダヤ人への迫害を本格化していきます。ユダヤ人のグイドと息子ジョズエは、ナチス・ドイツによって強制収容所へと連れて行かれます。
また、その事情を知った妻のドーラは、自ら強制収容所行の列車に乗ることを志願し、結局家族3人が強制収容所へ送られてしまうようになりました。

母と会えなくなり、不安を抱くジョズエに対し、グイドはウソをつきます。「これはゲームなんだ。1000点もらえれば勝ちで本物の戦車に乗って帰れる。その代わり、泣いたり、ママに会いたがったりせず、いい子にしないといけない」と。
過酷な強制収容所の中でも、ジョズエとドーラと一緒に帰るという希望を最後まで抱き続け、ジョズエの不安をいつも取り除こうと明るく、冗談を飛ばすグイドの姿にはとても心打たれるものがあります。
また、ナチスによるユダヤ人迫害を描写した映画は総じて重苦しい雰囲気が漂いますが、ライフ・イズ・ビューティフルはグイドの愉快で明るい性格によって、深刻な場面がコメディのように描かれています。
果たして3人は無事に強制収容所から逃れ、家に帰ることができるのでしょうか・・

なぞなぞ好きな軍医が最後に出したなぞなぞの真意とは?

物語の前半、グイドが給仕として働いている際、レストランのお得意さんにあるお医者さんがいました。グイドはなぞなぞをきっかけにこの偉いお医者さんと親しくなります。医者が出すなぞなぞをグイドがあっさり解き、また、グイドが出すなぞなぞをこの医者はいつも解くのに苦労していました。そういう意味で、この医者はグイドになぞなぞの面では一目置いています。

驚くのはこの医者、物語の後半で、強制収容所でドイツ人軍医として再び登場し、グイドと再会します。グイドの存在に気付いた軍医は、彼をきつい仕事の労働者から給仕の仕事へと移動させます。
さらに、グイドは医者に彼の奥さんと子供も収容されている旨を告げると、軍医はグイドに「後で大事な話がある」と伝えます。
これを聞いたグイドは、この強制収容所から抜け出せる方法を教えてくれるのかと期待を膨らませます。そして、周囲のスキをつき、軍医はグイドに「大事な話」をし始めま
す。それはなんと、なぞなぞでした。

「デブで、醜くて、どこもかしこも黄色。どんな調子かと尋ねるとこう答える。グワァグワァ(?)しかも歩きながら、ウンチする。さて、私はだれでしょう?」

グイドは最初になぞなぞを聞いたとき、ここに脱出のヒントがあると考えましたが、すぐになぞなぞの答えが分かると落胆します。

一体このなぞなぞの答えはなんだったのでしょうか?

映画の中では回答は出てきませんが、ネット界隈では様々な解釈がされています。
一説では、なぞなぞの答えは「ユダヤ人」ではないかと。
「私の周りは完全にユダヤ差別主義ばかりで君の力にはなれない」と言うことです。

また、実はこのなぞなぞには答えなどない、という製作者側からのコメントもあります。つまり、軍医は本当になぞなぞの答えが知りたかっただけの、真のなぞなぞバカだった可能性も濃厚です。
この答えがない、というのもいくつかの解釈が可能です。
例えば、戦争中でもなぞなぞを考えることができるぐらいに余裕のあるドイツ人の立場。
あるいは答えがでないぐらい、グイドたちを脱出させることの難しさを暗に意味している、などなど。

 

いずれにせよ、ライフ・イズ・ビューティフル、見て損はない映画です。ぜひ、午後三時にでもご鑑賞を。