毎年この時期になると思い出す、人生で2度と経験したくないこと

私が人生で2度と体験したくない経験が2つある。

一つはラトビアの刑務所ホテルで泊ったこと

もう一つが気温51℃の灼熱のインドで現地調査をして死にかけたことだ

まずは、刑務所に泊った話からしよう

カロスタ刑務所という、第二次大戦中にナチスとソ連によって運営されてたリアルガチな刑務所で、想像を絶するような虐殺や拷問が実際に行われていた場所がラトビアにある。現在はその場所を刑務所ホテルとして運営し、当時のままの独房で宿泊できるサービスを提供している。刑務所はエンターテインメントと暗い記憶を風化させないという2つの目的で運営されていて、毎年多くの観光客が訪れている。

"体験学習"と"人生常にOJT"がモットーな私は好奇心から宿泊してみた。その日、静まり返った監獄に宿泊した客は私だけ。刑務所内にいるのは私と看守の2人というあまりに怖いシチュエーションだった。看守曰く、「日本人で宿泊したのはお前が初めてだ」と。

この場所は心霊スポットとしても有名で、これまでも看守や訪問者から度々心霊話が報告されている。なので心臓の悪い方や霊などに敏感な方は訪問を控えた方が良さそうだ。実際、私は霊感とかあまりないが、この時ばかりは何かの気配を常に感じた。枕の下の方から女性の叫び声が聞こえるような気がして、恐怖で夜中に何度も何度も目が覚め全く寝られなかった。悪霊退散した方がいいかもしれない。もう2度と体験したくない。

この時期になると思い出す、灼熱地獄で身悶えしたあの時

毎年、5月になると思い出す出来事がある。記憶というよりも、むしろ身体が覚えている。

インドの西側にラージャスターン州という、パキスタン国境に近い場所がある。州都はジャイプルで、ここは毎年多くの観光客が訪れるインドの有名な観光地となっている。

そのジャイプルから西にさらに進んだところに、ティロニアという村がある。私はイギリス留学時代に研究のフィールドワークの一環でこの場所を訪れた。女性のエンパワーメントや村のコミュニティ作りを行うNGO ベアフット・カレッジ (Barefoot College)を訪問するためだ。

西インドは毎年5月の下旬から6月初旬にかけてが最も気温が高くなる時期で、なんと平均気温が44℃~46℃。日中は長時間出歩いてはいけないと言われている。私が訪問した時は、運悪く(逆に運良い?)インドの歴史上最高気温である51℃を記録した。歴史的瞬間に立ち会えたわけだ笑

ベアフット・カレッジはティロニアという村にある。私はこの村で死にかけた。死にかけたというのは大げさかもしれない。危なかったといった方が適切か。いずれにせよ、周りには扇風機もエアコンも何もない村で私は熱中症になった。気温51℃、熱中症にはなるべくしてなった。

暑いのに汗をかかない、極度の筋肉痛、何をしても熱が体に溜まっているような感じがする。水道もあるが、蛇口をひねると水ではなく熱湯が出てくる。中の水まで暑さで温められているのだ。この熱湯をタオルに浸し、首筋にあてる。ゾッとしたのはこの熱湯に浸したタオルが冷たく感じるほど、自分の体が熱くなっていたことだ。このままでは死ぬかもしれないと思った私は、車いすに乗ったスタッフに病院に行きたいと伝えた。

ところが彼は言う。「村の病院はやめとけ、俺みたいに歩けなくなるぞ」と。彼は風邪のような症状で村の医者に診てもらったところ、なぜか脚の骨に注射され、それ以来脚が動かくなくなってしまったという。その話を聞いて、病院に行くのも断念し、なるべく体力を使わないようにして耐え忍ぶしかなかった。そしてようやく一夜明け、村を出ることになった。

村から出る途中、あまりの暑さで亡くなっている路上生活者をこの目で見た。アスファルトが溶け、それと同化するように横たわっている人の姿に衝撃を受けた。カオスだった。私は教育調査でこの場所を訪れたが、教育の前にまずは一滴の水が重要であることを身をもって学んだ。

毎年この時期になると、あの時の灼熱地獄の経験、そして私のように日本に帰って快適な生活を送ることなどできずに亡くなっていく人々を思い出す。

私にとってはまさに原体験であり、身が引き締まる思いになる。

灼熱地獄はもう2度と体験したくないが、こちらはまた体験しそうで怖い。

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