座間9遺体事件から考える若者のSNS上でのSOSについて

1. 座間9遺体事件について

連日ニュースなどで報じられているので、座間9遺体事件については多くの人にとって既知の事実だと思います。 

座間9遺体事件は神奈川県座間市緑ケ丘のアパートの一室で、若い女性8人、男性1人の計9人とみられる複数人の遺体が見つかった事件で、殺害、遺体損壊が行われた期間は8月22日から10月30日までのわずか3か月間。この事件に対し、菅義偉官房長官は「犯罪史に残る残忍で凶悪な事件」とし、事件の全容解明、自殺に関する不適切なサイトや書き込みなどの取り締まり、自殺願望者の心のケアという3つの指示を閣僚に出しています。

【座間9遺体】菅義偉官房長官「犯罪史に残る残忍で凶悪な事件」と激怒 閣僚に3つの指示(2/2ページ) - 産経ニュース

1.1. 被害にあったのは15~26歳の自殺願望者

報道によると、今回の事件の被害者は15~26歳と若く、そして自殺願望者だったと言われています。知り合ってから出会うまでのやりとりのほとんどはTwitterを通じて行われ、容疑者は「死にたい」と投稿したアカウントに対しては個別にメッセージを送るなどして、積極的に自殺志願者たちと連絡を取り合っていたようです。

2. 事件の背景には深刻な社会問題が潜んでいる

今回の事件の悲惨さは言うまでもなく、菅官房長官が述べたように、今後このような事件を絶対に引き起こさぬように様々な対策が求められるでしょう。

一方で、猟奇的な事件ばかりに着目するのではんく、この事件を機に今一度考えてみなければならない問題があります。それが日本の若者の自殺という社会課題です。

下の図は1989年-2015年までの年齢階級別の自殺死亡率の推移を示しています。日本の自殺者数は2003年をピークに減っていますが、若年層の低下は緩やかで高止まりしている印象があります。毎日新聞によると、15~39歳の死因は自殺が最も多く、15~34歳の自殺率は事故による死亡率の2・6倍に上るそうです。諸外国と比較しても、先進7カ国で自殺が事故死を上回るのは日本だけだそうです。

社説:高止まりする若者の自殺 座間事件は私たちの問題 - 毎日新聞

 

f:id:eternalsekai:20171115093654p:plain

http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/jisatsu/16/dl/1-03.pdf

3. SNSの世界で叫ばれるSOSにどう対応していくか

私が以前書いた記事で、10代の女の子がスマホやタブレットで過ごす時間が増えれば増えるほど、自信を失い、うつ病になる可能性が高まるという内容を紹介しました。

こうしたSNSが毎日新聞が指摘するように、疎外感を感じている若者にとっては、匿名性が高いSNSが「居場所」になっている実態があり、そこにつけこんで様々な事件が起こっている現状があります。

しかしながら、ここで単純にSNSの闇だけを見ていては問題の解決にならないと思います。SNSを完全に規制することは不可能ですし、SNSのようなテクノロジーの発展によって、私たちの生活が便利になり、豊かになる可能性を無視することもできないからです。

人が疎外感を感じてしまう原因には様々ありますが、その原因の一つには他者からの「共感」が得られないことにあると思います。「共感」が得られないことで「自己肯定感」が低下してしまい、だんだんと生きている意味を見いだせなくなっていきます。
しかし、現実の中では得られなかった「共感」を、SNS上でなら得られるかもしれない。自分の人柄や思いについて「共感」し合える場をSNSは提供するため、そこに救われる人も少なからずいるのです。

産経ニュースに記載されていた以下の引用部分が、現代の自殺願望者について考える重要なキーである気がします。

「自殺総合対策推進センター」(東京)の本橋豊センター長(公衆衛生学)は今回の事件について「被害者が発していた『死にたい』という声が、悪意を持った人物と不幸にもつながってしまった。その声は『生きたい』というSOSだ」と強調。「そうした声を適切な窓口に橋渡しし、SNSを一律に規制するのではなく、時代に合った形で変えることが求められている」と話している。

【座間9人遺体】「死にたい」は「生きたい」…SNSは悩みの受け皿、自殺対策で一律規制に懸念(2/2ページ) - 産経ニュース

これはあくまで私個人の憶測に過ぎませんが、今回の被害者の中には、本当に死のうと考えていたのではなく、誰かと繋がり、共感しあえる可能性を求めていた人もいたのではないでしょうか。

孤独や疎外感に侵されない、信頼と安心を感じられる社会を築くことが一番大事なことではありますが、SNS上でSOSを発信している人たちに対してどのように対応していくかも、引き続き考えていかなければならない問題だと思います。

参考:

http://www.sankei.com/politics/news/171110/plt1711100012-n2.html

https://ja.wikipedia.org/wiki/座間9遺体事件

https://mainichi.jp/articles/20171108/ddm/005/070/092000c

http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/jisatsu/16/dl/1-03.pdf

http://www.sankei.com/life/news/171111/lif1711110037-n2.html