米国に合格率は2%程で「ハーバード大学を蹴ってでも行きたい」と言われるミネルヴァ大学という大学があります。
なんとこの大学、キャンパスがありません。すべてオンラインのみで授業が行われます。
新型コロナウィルスで多くの大学が授業をオンラインに切り替えている中、2014年に誕生したミネルヴァ大学ではすでに授業のすべてをオンラインで行っているためその影響をほとんど受けていないと言われています。
コロナの影響でEdTech分野が急速に盛り上がりを見せる中で、既にこうしたテクノロジーを活用して未来型教育を行っている、今最も注目されているミネルヴァ大学について紹介していきます、
1. 全寮制の移住型オンライン教育
ミネルヴァ大学は授業をすべてオンラインで行いますが、撮り溜めた教授の講義を流すだけの授業ではなく、学生同士のディスカッションを中心としたコミュニケーション型の授業となっています。
また、学生はそれぞれの自宅から受講するのではなく、世界中から集まった多国籍な同級生と同じ場所で共同生活をしながら一緒に授業に参加するのです。それも一カ所に留まらず、4年間の大学生活の中でベルリンやブエノスアイレスなど、世界7都市を移動しながらグローバル感覚を培っていきます。
では、なぜ学生は同じ空間にいるにも関わらずオンラインで授業を行うのだろうか。
実はミネルヴァ大学はオンラインの方が質の高い授業ができると考えている。授業は少人数のセミナー形式で行われ、講師はモニターに映る生徒一人一人の表情や作業の手元を見ることで、やる気や理解度を確認しながら授業を進められるようになっている。
さらに、個人の発言時間を自動で計測し、発言量のバランスを見ながら授業を進行することが可能で、さらに発言された内容は自動筆記で即座にテキスト化されるので素早いフィードバックができるようになります。
最近Zoomミーティングに参加することが多くなりましたが、確かに、オンラインの方が一人一人の顔をよく見ることができるというのはすごく納得感があります。
自動筆記や発言量の計測が今後どんどん普及してくると、ミーティングの効率が一気に向上しそうですね。
2.ミネルヴァ大学の経営理念
ユニークな教育を展開するミネルヴァ大学大学ですが、そこには創設者のベン・ネルソン氏の教育への想いがあります。ベン氏はいつの間にか商業化(商品化)された大学教育に疑問を持ちました。そしてベン氏は「教育の歴史」を学ぶ中で、大学とは、本来幅広い教養を身に着けることで様々な分野での探求や他者のために役立つ意思決定を行い、社会を牽引するリーダーを育てる場所だと再確認しました。
また、アイビーリーグですらこうした大学の本来の目的を果たせておらず、むしろ、富裕層の子弟が入りやすく尊重されているというところにも課題意識を持ちました。
そこでこうした課題を解決するために、旧態依然の大学教育とは一線を画した新しい形の高等教育を目指し、ミネルヴァ大学を創設するようになりました。
3.ミネルヴァ大学の審査プロセス
ミネルヴァ大学の合格率は2%未満と言われており、超難関なことでも有名です。では、ミネルヴァ大学では一体どのような審査が行われているのでしょうか?
実は、米国の大学に行くと必要と思われるSATやTOEFL/IELTSのスコア、事前課題エッセイなどは不要なのです。以下に紹介する選考プロセスを通じて、応募者は自分自身について深く知り、また、ミネルヴァ大学で学ぶ目的や意義を確認されるようになっています。
第1審査 “Who You Are?”
氏名や学歴などの一般的な情報を登録します。
第2審査 “How You Think?”
IQテストのような独自のオンライン試験です。受験生の集中力、創造力、論理的思考力、英会話力、英文論述力を問われます。
第3審査 “What you have achieved?
ここでは過去に達成した課外実績について説明し、困難を乗り越えた経験やリーダーシップを発揮したこと、達成したことなどを記述します。このエッセーを書いている間、その過程を面接官はモニタリングしています。
なお、受験は1年間に1回、1アカウントでのみ受験が可能です。
ちなみに受験料は無料、授業料は年間150万円程です。アイビーリーグなどと比較すると破格の安さで、ここに創設者の想いが込められている気がします。
参考: