プログラミング教育の必修化
今年2020年から初等教育でプログラミング教育が必修になりました。
初等教育における情報教育とICTの活用については、既に平成23年度の新しい学習指導要領の中に含まれていましたが、2020年からは「プログラミング的思考」を養うために、本格的に学習指導要領に組み込まれることになりました。
ちなみにプログラミング的思考を大雑把に言えば、物事を秩序立てて考え、仮説を立て、問題を解決していく力だと思います。
とはいえ、今日明日ですぐに授業が変わるわけではありませんし、プログラミングに特化した授業が新たに開設されるわけではないようです。文科省の「小学校プログラミング教育の手引」を読んでみると、プログラミング教育を
「様々な教科・学年・単元で取り入れ」
「各学校の創意工夫により、様々な単元等で積極的に取り組む」
ことが記載されています。
つまり、算数、音楽、理科などの授業の中でプログラミング教育を行うということです。これはこれで、とても難しいことだと思います。
プログラミング教育必修化を受け、最も戦々恐々しているのは現場の教師ではないでしょうか。教師の中には自らプログラミングを学ぼうとしている人もいるかと思いますが、必修化にする以上、教師のICT活用能力を高めるための研修などを充実させていく必要があるでしょう。
教員のICT活用能力は生徒のICT活用能力に大きく影響を与える
教師のICT活用能力がそのまま生徒のICT活用能力に繋がるという研究があります。
British Educational Communications and Technology Agency(Becta)が出した2003年の研究です。少し古いですが、この研究の中で、ICT活用能力の高い教員の指導では、生徒のICT活用能力において優秀な成績を残す生徒が8割以上にもなることが分かります。Becta(2003)「Primary Schools – ICT and Standards」より引用
さて、この研究を見ると、今後のプログラミング教育において教師のスキルが非常に重要であることが想像できます。
高度なICT活用能力を習得するために、既存の教師が研修などを通じてスキルアップすることはもちろん重要ですが、それと同時に既にICTスキルを持った民間企業/個人とのコラボレーションや民間教育産業との連携が求められてくると思います。
しかも、これからの学校教育で求められるのは、プログラミング教育を
「様々な教科・学年・単元で取り入れ」
「各学校の創意工夫により、様々な単元等で積極的に取り組む」
ことですから、単にICTの知見・技術があれば授業ができるわけではなく、各科目や単元の中でいかにしてプログラミング教育を取り入れるか、つまり授業をデザインする能力が益々重要になってくるのだと予想できます。
最後にふと疑問ですが、生徒のICT活用技術が教員のICT活用能力に依存するのであれば、例えば民間の事業会社におけるICT活用能力は、その企業のIT部門に従事する人材のスキル・知識に依存するのでしょうかね・・?