Sekalog

世界の学びログ

 

アフリカで人を雇うことの難しさをつらつら書いてみた

アフリカで仕事をする中で、現地スタッフの人材管理を任されるようになり、既にこれまで何人ものアフリカ人材(ルワンダ人)のCVを見て、面接をし、実際に雇用してきた。日本では、人事部でない限り、20代で人の採用に携われる機会はあまり多くないかもしれない。そういった意味では貴重な経験ではあるが、それでもやはり苦心惨憺しながらその与えられた業務の難しさを日々感じざるを得ない。

雇用した後も、それで安心かと思えばそうではない。急に辞めたり、病気になったり(フリしたり)、音信不通になったり、新しい職が決まったので転職すると言い出したりする。まあ、これらは日本でも当たり前にあるかもしれないが、アフリカ人は特に、"隙"を見せるとその一瞬の隙を突いてくる(笑)

そこで、せっかくなのでアフリカで人を雇用する中で感じた日本との違いや、その難しさについて改めてつらつらと書いてみようと思う。

フォーマットなんてない、差別化を図るCV

まず、CV。日本みたいに画一されたCV様式みたいのはなく、それぞれがオリジナリティを発揮して実に多様なCVを送ってくる。日本は、新卒一括採用の影響からか、人事にとっては同じ形式のCVの方が見やすく、精査しやすいため、敢えて奇抜なCVを送ってくる候補者は評価対象外とされる可能性が高い。あるいは、企業で定めたフォーマットを使うように求めるところも多い。

一方でアフリカでは、いかに他者から頭一つ抜き出るかがすべてだ。つまり、差別化を図ることがまず大事になる。差別化を図る方法はさまざまにあって、例えば、CVに使用する写真は、オフィス内で腕を組んではにかむイケてる写真を使ったりする。また、様式も非常に綺麗にデザインされていて、カラフルなものもある。自分が制作した製品の写真を掲載したりもする。従って枚数も必ずしも1~2枚に収まらず、5~8枚ほどのボリュームで出してくる人もいるのだ。

もう一つ面白いと思ったのが、第三者からどのように評価されているかをCVに記載する点だ。知名度が高い人物や業界の大物から得た「こいつは信頼に足る」という一文を載せることで、こうした人物とのコネクションがあることをアピールし、これが推薦書的な役割を果たすのだ。

採用が決まるまではなんでも"できます"

CV審査を通過した候補者を面接に呼ぶと、そこにもアフリカならではの特徴がある。

候補者はとにかくピシっとしたスーツで決めてくる。『人は見た目が9割』という本があったが、アフリカ人はま特に"どうみられているか"を日本人以上に気にする傾向がある。ポジティブな言い方をすれば、"良く見られるための努力"を惜しまない。

面接は採用側のニーズと応募者のニーズのすり合わせの場だ。ここでは、業務内容や業務上の決まり事(レポートの提出など)を伝え、候補者が問題なく業務遂行できるかを確認する。

厄介なのは、すべての候補者が面接ではほぼ例外なく、何に対しても"できます"と応えてくることだ。それも自信たっぷりと。不採用にされるなど考えもつかないかのように。こういうハッタリかませるのって意外に重要なのかもしれない。

採用決定後は手のひらを返したように・・

採用が決まれば、契約条件について最終確認をし、契約書を交わす。ここで、彼らの本性?が現れる。まず、すでに面接の時点で提示していた報酬があまりにも少ないと言い出す。面接時に希望報酬額を聞いたときは、仕事に見合った報酬を得られれば十分さ、なんて言っていたにも関わらず、である。

また、彼らは契約書を非常に細かく読み込んでくる。一つでも自分にとって不利な条件がないかを隈なく探す。通勤費は?保険は?とにかく、働く前からどのようなベネフィットがあるかを徹底的に確認してくる。

これは採用側にとっては面倒ではあるが、この時点で曖昧になっていることを明確にしておくことで後々のトラブルを避けることができる。すべてクリアにして契約を交わすためには必要なプロセスなのだ。

気づいたら転職・・?

アフリカ人スタッフは(というかグローバル的にかもしれないが)、日本のような終身雇用という感覚はほとんどないだろう。逆に、常に条件の良い就労環境を探し求め、チャンスがあればそこに飛び込むことに躊躇しない。たとえ、それが契約期間中であってもだ。

なので、労務管理する立場の人は、スタッフが働きやすい環境を整えることは大事だが、スタッフがいつ辞めても業務に支障が出ないように日ごろから注意しておく必要がある。具体的には、日報/週報などを提出させ業務の進捗を把握しておくこと、交代要員をすぐに探せるように、一度不採用にした候補者に対しても将来的に就労の機会がある可能性を事前に伝えておくこと、グループウェアなどで資料を共有できるようにしておくことが大事だと思われる。

ある時、急に仕事に来なくなり、音信不通になったスタッフがいた。ようやく連絡が取れるようになって「どうしたのか」と尋ねると、病気になって連絡ができなかったと言ってきた。さらに働いた分の給与を急いで明日までに振り込んで欲しいと依頼してきた。さすがにこれは何かおかしいと感じ、給与は支払うがそのためには事務所に来て無断欠勤の理由について説明が必要だ、と伝えると、再び音信不通。数日後に再度連絡があり、給与を急いで支払ってくれ、と再び依頼される。上記と同じ説明を繰り返すと、彼はようやく事務所を訪れてきた。プロジェクトとしては仕方ないが、彼の勤務態度に鑑みて、その場で解雇通知を出した。

また、別のスタッフのケースでは、家族が病気になったのでその看病のため休ませてほしいと依頼され、休暇を与えていたが、「来月から新しい仕事が決まった。以前からずっと就きたかった仕事なので、今月いっぱいで辞めさせてもらいたい」と言われたりもした。

ローカルスタッフが急に病気になったり、家族が病気になったという理由で休みがちになれば、それは何かしら良くない兆候かもしれない。基本的にはスタッフの言葉を信じるものの、信じたことが必ずしも真実なのかは分からない。

以上見てきたように、アフリカでローカルスタッフを雇うことは簡単ではない。頭を抱えることも多い。雇用主はスタッフが働きやすい労働環境を整えることももちろんだが、何が起きても、動じないメンタルを持つことが重要だったりする。

また、アフリカ人材と言っても、国によってその性格は様々だ。ルワンダでいえば、ルワンダ人は基本的に言われたことはきちんとやる特徴がある。だから指示を明確に出してあげれば、とにかくきちんとこなしてくれる。逆に言えば、それ以上のこと、つまり自らの頭で考えて先読みして動く能力は弱いのかもしれない。しかし、それができるスタッフもいる。所謂、優秀な人材とそうでない人材の分かれ目だ。

国際協力という文脈でいえば、雇用したスタッフをいかに優秀な人材に育て上げていくか、という人材育成の観点も、アフリカ人を雇用する上で欠かせない視点である。