なぜ日本からGAFAのようなイノベーションが生まれないのか?イノベーションは個人ではなく風土から生まれる

恐るべしFacebookのイノベーション環境

GAFAというのは、Google,Apple, Facebook, Amazonそれぞれの頭文字を取った俗語で、その影響力の大きさから「Gang of Four(四天王)」、「Four Horsemen(ヨハネの黙示録の四騎士)」とも呼ばれている。非常にイノベーティブな組織としても有名だが、こうした企業を前に、なぜ日本はGoogleやAppleのような企業が生まれないのか?と長らく議論されてきた。

先日、TBSで放映された特番『緊急!池上彰と考えるニュース総決算!2018ニッポンが“危ない”』ではFacebookが取り上げられ、その街のような敷地面積や自由な働き方がクローズアップされていた。

番組でインタビューを受けた入社2年目のアシュリーさんはFacebookの働き方について「敷地内のどこに行って仕事をしても大丈夫。さまざまな部署の人たちと密接に働きながら経験をお互いに伝え合い学ぶことができ、アイデアが広がっていきます。マーク(CEO)やシェリル(COO)が歩き回っていることもあるわ」と述べている。

さらに敷地内で”偶然”意気投合した社員と組んでプロジェクトを立ち上げることができ、アイデアを経営層に上手くプレゼンできれば資金もつく。こうした社内環境によってイノベーティブなコンテンツ・サービスがどんどん生まれていく仕組みになっている。

こうした社内の風土を支えているのがFacebookの理念だ。Facebookでは次の3つの仕事における指針を大切にしている。

(1)インパクトのあるアイデアを生み出したか
(2)自分のアイデアにいかに人を巻き込んだか
(3)他人のアイデアをいかに助けたか

日本企業がイノベーションを起こせない理由は圧倒的に風土に問題がある

電通や外資コンサルを経て、現在は組織コンサルティングを強みとするコーンフェリー・ヘイグループ株式会社で勤務する山口周氏は、その著書『世界で最もイノベーティブな組織の作り方 (光文社新書)』で、「日本人がイノベーションを起こせない理由は、個人ではなく圧倒的に組織の風土にある」と指摘している。つまり、日本企業からイノベーションが生まれない根本理由は「個人の創造性」の問題ではなく「組織の創造性」の問題にあるということだ。

世界で最もイノベーティブな組織の作り方 (光文社新書)

世界で最もイノベーティブな組織の作り方 (光文社新書)

 

 パラダイムシフトの提唱者、トーマス・クーンによると新たな価値観を提供する先導的な役割を担う人物は、組織における「若手」かと分野における「新参者」であることが多い。これはなんとなく想像に難くないだろう。

山口氏は日本企業がなかなかイノベーションを起こせない理由は、イノベーションが起きる要因・環境と日本企業の風土、つまりカルチャーに乖離があるということだ。

例えば、日本企業では、目上の人に対して反論したり意見したりすることに抵抗感を覚える度合いが、他の文化圏よりも相対的に強い組織風土があり、また、現在の日本ではイノベーションの主導役となることを期待される若手の数が、シニア層が数のうえで大幅に上回っており、どの組織でもシニア層が分厚くなっている。

逆に言えば、企業の構成において若年層の層が厚く、組織内の上下関係なくフラットに意見が言える組織風土であれば、イノベーションを起こしやすいということだ。あるいは、大企業などで年齢層が大きく動かない場合においても、山口氏は「大事なことは組織構成員の言動を変えられるかどうか、つまり組織の下層の人間は上層部に対してモノを申し、上層部の人間は、下層の人間のモノ言いに対して耳を傾けることができればいい」と述べている。

また、本書ではイノベーションの語源について以下のように触れている。

イノベーションという英語の語源になったのはラテン語の動詞「innovare=新しくする」ですが、この言葉は「in=内部へ」という方向を示す接頭辞と「novare=新しくする」という動詞の結合で生まれた合成語です。つまりイノベーションという言葉は、もともと客体ではなく主体、つまり「自分を新たにする」という意味を持っていたのです。

 昨今、多くの企業で「イノベーションが必要だ」という認識が高まっているが、まず目を向けるべきは社内風土を整えることかもしれない。果たしてイノベーションが創出される企業文化が自社にあるかどうか、インサイドアウトの視点で省みたいものである。