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途上国開発におけるインパクト評価の重要性について

インパクト評価は近年途上国開発においても非常に注目されている評価手法であり、今後もさらにその手法が確立・普及していくものと思われます。

また、途上国開発だけでなく、SDGsというスローガンのもと、企業がSDGs達成のための具体的な実践を行っていくにつれ、その取り組みの成果を評価・測定し、報告することが求められてくるようになり、企業が自らの活動のインパクトを評価して説明することがますます重要になってきます。

そこで今回は私のように初心者の方向けに、インパクト評価の概要について簡単に説明してみたいと思います。

1. 途上国開発におけるインパクト評価普及の契機

SDGs(Sustainable Development Goals)というのは既に多くの方がご存知のように、持続可能な社会を築くために、世界中の社会課題を包括的に捉え、17の目標と169のターゲットが掲げられているグローバル目標ですが、その前身にはMDGs(Millennium development Goals)というのがありました。SDGsの対象が「誰一人取り残さない」というスローガンから分かるように、先進国含むすべての人を対象としており、その取り組みのアクターも民間企業や一般市民を含めた我々全員が取り組んでいくべきものと認識されています。一方で、MDGsの対象は途上国であり、そのメインアクターは政府、国連、NGOなどの開発援助機関が中心でした。
 
各援助機関がMDGs達成に向けて様々な取り組みを行う上で、ある問いが投げかけられるようになりました。それが、
「これまでの途上国開発の取り組みははMDGs達成に向けた成果を上げているのか?」
「課題解決に有効な取り組みは何か?」
という問いです。

こうした問いの中で、2006年頃からCenter for Global Developmentなどの米国のシンクタンクや、大学、財団、世界銀行などの研究者やエコノミストから成るEvaluation Gap Working Groupによって「国際開発事業の中でインパクト評価が不足している」との指摘が成され、その指摘が国際開発領域におけるインパクト評価普及の契機となりました。

2. インパクト評価とは一体何か?

インパクト評価を一言で表すとすれば、"「ある活動(取り組み)を行うと、社会課題は解決するのか」という問い答える行為のこと"と言えます。
MDGsの取り組みの中では、その成果ではなく活動実績を把握することにとどまるケースが多く見られました。
例えば、「農村への電化率はどれぐらい普及したか」「教員研修を何回行ったか」という問いに焦点が当てられました。しかしそれではダメで、「電化率の普及によって家計の厚生水準が改善したのか」「教員研修によって生徒の学力は向上したのか」という、活動によってもたらされるインパクトが重要である、つまりアウトプット(活動実績)ではなくアウトカム(成果)が問われなければならないという認識が急速に高まってきました。
つまり、

インパクト評価とは、課題解決を意図した行為である「介入」によって生じた変化を測定・検証するものhttp://www.keidanren.or.jp/journal/times/2018/1108_07.html

となります。

3. インパクト評価における“介入”について

そこで、何となく理解できそうではあるものの、1)介入とは何か、2)介入効果とは何か、3)介入効果をどのように測定するかという疑問が残ります。

1)介入とは何か

インパクト評価で言われる介入とは、「社会課題の解決を意図したさまざまな行為でのこと」です。例えば、政策、施策、事業プロジェクト、プログラムなどがこれにあたります。

2)介入効果とは何か

介入効果とは、「介入の対象となった場合とならなかった場合のアウトカムの平均値差のこと」です。政策介入の対象になった場合に観察されるアウトカムを事実(Factual)と呼び、介入の対象にならなかった場合に観察されるアウトカムを反事実(Counterfactual)と呼びます。

3)介入効果の測定方法

しかし考えてみれば分かりますが、歴史にIFがないように、同じ対象者が、同じ時間に同じ場所で二つの状態(介入があったパターンとなかったパターン)を経験することは不可能です。そこで「介入対象者の反事実(Counterfactual)の状態を、実際に介入を受けていない人々で代替する」ことになります。
介入の代替となる人々は誰で良いというわけではなく、Factual-Counterfactualは似ている必要があります。つまり出発点(前提条件)が似ている必要があるのです。例えば、「LEDランタンを農村地域に導入することで子供の学力は向上するのか」という問いのインパクト評価を行う場合、単純にLEDランタンを導入した家庭としなかった家庭を比較しても、その他に学力に影響を与える要因がある場合はその効果を検証することが難しくなります。従ってこの場合は、似たような学力水準や家計水準という前提条件の下で、LEDランタン導入における学力へ及ぼすインパクトが測定できるということになります。

4. 終わりに

SDGs達成のために、活動実績ではなく、その成果に焦点を当てたインパクト評価は今後ますます重要になってきます。特に、重要なのは、過去のプロジェクトなどのインパクト評価を行うことで、課題を解決するための最も見込みの高い介入(取り組み)を特定することにあります。

<参考>

インパクト評価を巡る国際的動向

週刊 経団連タイムス:インパクト評価の手法について聞く (2018年11月8日 No.3384) | 週刊 経団連タイムス

https://www.cgdev.org/working-group/evaluation-gap-working-group