- 2017年8月29日、今朝5時58分頃、北朝鮮がミサイル発射
- 北朝鮮の狙いを知るには国の体質を知らなければならない
- 北朝鮮のミサイルの狙いはアメリカとの国交と中国へのけん制なのか
- 国際情勢を捉える上で地政学的な視点は必要
2017年8月29日、今朝5時58分頃、北朝鮮がミサイル発射
グアムへのミサイル発射宣告など、連日北朝鮮はミサイル発射を宣言し、
各地域に恐怖を与えてきたが、ついに今日ミサイルが発射されたというニュースが飛び込んできた。
スマホの大音量での警告音が鳴り響き、朝のニュースも緊急速報に切り替わり、
尋常じゃない雰囲気が漂う朝となった。ミサイル影響による通勤電車の遅延も当然ながら発生。
発射されたミサイルについては各メディアがより正確な内容を伝えている。
5時58分頃、北朝鮮の西岸から北東に向けてミサイル1発が発射され、6時6分頃に北海道の上空を通過、6時12分に襟裳岬の東方約1180キロの太平洋上に落下したとみられる。
【北ミサイル発射】北朝鮮が弾道ミサイルを発射 日本上空を通過 菅官房長官「これまでにない深刻かつ重大な脅威」(1/2ページ) - 産経ニュース
北朝鮮の狙いを知るには国の体質を知らなければならない
北朝鮮という国は、「主体思想(チュチェ思想)」という理念に基づいている。
北朝鮮はご存知の通り、社主義国家である。しかし一口に社会主義といっても、
中国やソ連の社会主義と同列ではない。
北朝鮮にとってみれば、
ソ連の崩壊はソ連の社会主義が間違っていた、
中国は最近では中途半端に資本主義を導入している。
だから北朝鮮の社会主義こそが本物の社会主義である、こういった思想が主体思想の中心的部分だと思う。
『学校では教えてくれない地政学の授業』を著した茂木氏の地政学的観点からいうと、朝鮮半島という国は強大国中国と隣接しており、歴史的に常に強大国に取り入ることで国家存亡の危機を乗り越えようとしてきたという。
茂木氏によれば、米ソ冷戦時には、二つの強大国のうち、民主主義アメリカ側についたのが韓国、共産主義ソ連側についたのが北朝鮮。ところが冷戦でソ連が負けると、残る強大国はアメリカしかなくなった。
では中国ではダメなのか?
ここが地政学的な観点なのだが、茂木氏は地政学では「隣の国は敵」という考え方があるという。
つまり、中国は共産主義圏でありながらも、北朝鮮にとっては敵、脅威であると。
北朝鮮のミサイルの狙いはアメリカとの国交と中国へのけん制なのか
地政学的に考えると、北朝鮮はアメリカと戦争をしたいわけではなく、
国家を維持させるために、強い国アメリカと組みたいのだという結論になる。
アメリカと平和条約を結び、アメリカ大使館を北朝鮮に開きたいのだと。
そのためにミサイルで挑発を続けることで、アメリカと平和会談の機会を設けたいのである。あくまでも対等、というポジションで。
一方、茂木氏によれば北朝鮮にとっての仮想敵国は中国であると考えた場合、
ミサイル発射の目的には中国へのけん制-威嚇という意味合いもあるという。
では、日本はどうしたらいいのか?
朝鮮半島が、強大国に取り入るという地政学的論理が正しいとすれば、日本は強い国になるしかない。茂木氏はそう結論付けている。
国際情勢を捉える上で地政学的な視点は必要
茂木氏の論説は鵜呑みにすることはできないものの、国政情勢を捉えるうえで、
地政学的な観点を持つ重要性を示唆している。
地政学は地理と歴史と国際政治を合わせたような学問であるが、
確かに地政学的な観点は国の行動原理を理解する上では役に立つ。
国際政治、特に現代史を学ぶ上で、資本主義や共産主義というイデオロギー的な対立に注目しやすいが、地理的な与件から国際政治を見つめるとまた異なる知見を得られる。
『お金の流れでわかる世界の歴史』もそうだが、様々なポイントから歴史を見つめることは、複雑な現代の事象を読み解くうえで重要である。

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