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トリクルダウンはやはり仮説にしか過ぎない-映画『パラサイト 半地下の家族』を観て

韓国映画『パラサイト 半地下の家族』を観てきた。

カンヌ国際映画祭最高賞パルムドールを受賞した話題作だ。パルムドールと言えば、『万引き家族』も同賞を獲得している。二つの作品はパルムドール受賞という共通点だけでなく、「貧困」「格差社会」といった社会課題を浮き彫りにするテーマという点でも類似性がある。

パラサイトは万引き家族よりも富める者と貧しき者の対比が上手くなされており、また韓国映画独特の予想を超えてくる展開と演技のすごみが加わって、個人的にはパラサイトの方が楽しめた。コメディも面白い。

あらすじ
全員失業中で、その日暮らしの生活を送る貧しいキム一家。長男ギウは、ひょんなことからIT企業のCEOである超裕福なパク氏の家へ、家庭教師の面接を受けに行くことになる。そして、兄に続き、妹のギジョンも豪邸に足を踏み入れるが...この相反する2つの家族の出会いは、誰も観たことのない想像を超える悲喜劇へと猛烈に加速していく――。(filmarksより引用)

経済学の理論の一つに、「富める者が富めば、貧しい者にも自然に富が浸透(トリクルダウン)する」という、いわゆるトリクルダウン理論というものがある。

ある国で富裕層や大企業にお金を与えて大規模な事業を促し、国の経済を発展させることで、その成長に引っ張られて貧しい人々の雇用機会が増加し、やがて貧困は削減されていく、という考え方だ。だが、本作を観れば分かるように、結局お金持ちは私腹を肥やしどんどんお金持ちになる一方で、末端で雇用される人々には安い賃金と劣悪な労働環境だけがあり、その差が縮まることはない。

韓国はソウル大学の卒業生でも3人に一人が非正規雇用と聞いたことがある。2019年の調査では大卒予定者のうち正規雇用に就けるのが10人に1人だけというデータもある。日本以上に格差社会の厳しい韓国。本作を観た韓国人は、きっと多くの共感を呼んでいるに違いない。

学生時代に富の再分配については勉強した記憶があるが、遠い彼方の記憶だ。

昨年に観た『ジョーカー』も格差社会が一つのテーマだったし、もう一度ジョン・ロールズやジェレミ・ベンサムあたりを勉強しなおそうと思った。