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映画『天気の子』は「最大多数の最大幸福」の話?

記録的大ヒットした『君の名は』の公開から3年経ち、新海誠監督の新作品『天気の子』の公開が7月19日より全国で公開されました。

公開前より『君の名は』を超えるか?ということで話題を集めていましたが、実際の評価は賛否両論あるようです。

私も公開翌日に観に行ってきましたが、「割と楽しめたかなー」という感じで、君の名はほどの衝撃的な印象はありませんでした。ただ、今年の東京の天気は雨がずっと続いていたので、『天気の子』の中のストーリーに共感を抱いた方は多かったのではないしょうか。

【鑑賞日】2019年7月20日 【おススメ度】4.0/5

あらすじ

あらすじはフィルマークスからの引用。

「あの光の中に、行ってみたかった」

高1の夏。離島から家出し、東京にやってきた帆高。
しかし生活はすぐに困窮し、孤独な日々の果てにようやく見つけた仕事は、怪しげなオカルト雑誌のライター業だった。

彼のこれからを示唆するかのように、連日降り続ける雨。
そんな中、雑踏ひしめく都会の片隅で、帆高は一人の少女に出会う。

ある事情を抱え、弟とふたりで明るくたくましく暮らす少女・陽菜。
彼女には、不思議な能力があった。

「ねぇ、今から晴れるよ」

少しずつ雨が止み、美しく光り出す街並み。
それは祈るだけで、空を晴れに出来る力だった――。

天気の子 - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarks映画

 功利主義的な視点から『天気の子』を観る(ネタバレ含む)

相変わらず音楽と映像は綺麗だったし、東京の描写も上手だったのですが、銃が出てきたり、君の名はのキャラが出てきたり(出さんでもよくない?)いろいろと突っ込みどころはありました。

そして、何かと『君の名は』と比較した感想が目立ちますが、『君の名は』とは異なり、何となく伝えたい・問いたいメッセージがはっきりしていたように思います。そう、既に多くの方が感じているように、『天気の子』のテーマは明らかに「最大多数の最大幸福」です。

少し前に、マイケル・サンデルという政治哲学者の「正義論」が流行りましたが、サンデル教授が良く引用していたジョシュア・グリーンの『モラル・トライブズ - 共存の道徳哲学へ』の中に出てくるトロッコの事例は、一度は聞いたことがある人も多いでしょう。トロッコ問題とは「5人を救うために1人を殺すことは道徳的か?」、つまるところ全体の利益のために少数派の利益を犠牲にしても良いのか?という問題。

今回の場合は、「東京の異常気象を解決するために、たった一人の少女を犠牲にしても良いのか」といったところでしょうか。「最大多数の最大幸福」という功利主義は、その他の道徳的に考慮されるべき事柄を排除してしまっている、という批判も多くありました。こうした功利主義を批判した有名な哲学者はジョン・ロールズがいます。

ロールズはその代表的な著書『正義論』の中で、以下のように功利主義を批判しています。

どれほど優美で無駄のない理論であろうとも、もしそれが真理に反しているのなら、棄却し修正せねばならない。それと同じように、どれだけ効率的でうまく編成されている法や制度であろうとも、もしそれらが正義に反するのであれば、改革し撤廃せねばならない。すべての人々は正義に基づいた〈不可侵なるもの〉を所持しており、社会全体の福祉を持ち出したとしても、これを蹂躙することはできない。こうした理由でもって、一部の人が自由を喪失したとしても残りの人びとどうしでより大きな利益を分かち合えるならばその事態を正当とすることを、正義は認めない。『正義論』 第一章 公正としての正義

ロールズは「"基本的自由の権利"が社会のみんなに平等に分配されること」が最も重要であると考えました。つまり、「一人を犠牲にすることで、より大きな社会の利益となることを、正義とは認めない」ということです。『天気の子』では、大人になるにつれてこうした「正義」についての考えや道徳的な視点が失われ、過度の効率性追及に陥ってしまう現代社会に気づきを与えようとしているのかもしれません。

(しかし、それにしても銃発射は現実離れしているよなぁ・・)